Little Parade 太志が貫く音楽への真摯な姿勢 前進する決意を見せた『The Sun and Twilight tour 2021』ファイナル

 バンドメンバーとのジャムセッションを挟み、ブラックミュージックのエッセンスをたっぷり注いだ大人のポップス「501 with oneself」から、ライブは早くも後半へ。カントリー調の牧歌的なグルーヴと〈地面なき歩みも 転ばずの学びも 一つもない〉というラインが響き合う「太陽と土と花水木」、〈こんなにも君の不在を淋しく思える/僕がまだいた〉という歌詞がじんわりと心に染みる「寂恋」。そして本編ラストは、彼自身の学生時代の経験を反映した「スクールカースト 〜底から見た光〜」。多彩にしてジャンルレスな音楽性、ドキュメンタリーのような生々しさをたたえた歌を軸にしたLittle Paradeの楽曲は、リスナーと対峙するライブという場所でこそ真価を発揮する。そのことをはっきりと示すシーンだった。

 アンコールを求める手拍子に導かれ、再びステージに姿を見せた太志は、Aqua TimezとLittle Paradeについて話し始めた。Aqua Timezの存在は今も自分のなかにあること。解散は悲しいことではあったけど、引きずりながらも、新しい音楽をやろうしていること。今回のツアーではAqua Timezの曲ではなく、Little Paradeで勝負したいと思っていることなど。

 「Aqua Timezで出会った人たちは今も俺の財産」と話してから始まったのは、「あなたに会えてよかった」(小泉今日子)。そして最後は、Little Paradeとして最初に発表された楽曲「ユニコーンのツノ」。前だけを向いて突き進んだバンド時代、その尖ったツノはメンバーを含む周りの人たちをなぎ倒してしまったのかもしれないーーそんな後悔をにじませながら、それでも新たな道を選んだ彼の軌跡が映し出されるこの曲は、まさにLittle Paradeの出発点だ。

 1stミニアルバム『止まらない風ぐるま』、2ndミニアルバム『藍染めの週末』、そして最初のツアーによって、Little Paradeとしての現在地を示した太志。音楽とリスナーに対する真摯な姿勢こそ、アーティストとしての核なのだと実感できる意義深いライブだった。

Little Parade オフィシャルHP

関連記事