GRAPEVINE、ライブバンドとして貫く不変のアティテュード どこにも当てはまらない存在であり続ける独自性

GRAPEVINE、不変のアティテュード

 ブルースの要素は明らかに入っているが、いわゆるブルースバンドではない。では、もう少し広げて、ブルースに根ざしたロックバンドという言い方ならジャストなのかというと、そう括るには懐が深すぎる。

 一緒にシンガロングできないのは、メロディがないから? いや、すばらしいメロディがどの曲にもあるし、それらのメロディには、すべてを聴き手に委ねる抽象性が貫かれているのに、聴いた瞬間にすべてが伝わる、マジカルとしか言いようがない、田中和将(Vo/Gt)による歌詞が乗っかっている。

 ギター主体のロックバンドだが、ハードロックやメタルではもちろんないし、オリジナルパンク/ニューウェイブ以降の潮流の上にいるかといえば、そうとも言えない。90年代以降にデビューしたパンク系ではない日本のロックバンドは、かなりの割合で、UKギターロックかアメリカンオルタナティブ/グランジ、そのどちらか、もしくは両方の系譜の上にいると僕は思っているのだが、そこにも当てはまらない。

GRAPEVINE - LIVE AT HIBIYA PARK(Official Trailer2)

 では一体何なのか。GRAPEVINEです、としか言いようがない。そんな、ギター主体のロックバンドとしてのスタイルを築き上げて、ここまで続けてきて、しかもそれが異端ではなくて、長きにわたり、ポップミュージックとして安定した支持を受けている。そのこと自体が偉業なのではないか。「異形」でもあるかもしれないが。

 そんな「何もめずらしくないのにどこにもいない」「下手したら日本だけじゃなくて海外にもいない」ロックバンド、GRAPEVINEの魅力を存分に味わえるのが、今回のライブ作品だと思う。

 余談。30年以上、日比谷野外大音楽堂に通い続けた自分の経験の中で、「お客さんのアルコールの消費量が最も激しいアクトは?」と聞かれたら、即答できる。Caravanと、ハナレグミと、GRAPEVINEだ。

 ただ、今回は緊急事態宣言下でのライブであって、当然ながらアルコールNGだったが意外と平気だった。というより、始まってすぐに酒のことなど忘れていた。で、ライブが終わってから「飲まなくても平気だったわ」と気がついた。

 というのは、いいことなのか、よくないことなのかでいうと、前者だと思うが、コロナ禍以前の、日比谷野音でのGRAPEVINEのライブで、「どんどん飲んでくださいねー」という田中のMCにあおられて、缶ビールを何本も飲んで、酔っぱらっていた俺は何? バカ? とも思ったりしました。

■リリース情報
『LIVE AT HIBIYA PARK』
2021年11月24日(水)発売
・Blu-ray Disc:¥7,480(税込)
・DVD Disc:¥6,380(税込)
<収録予定曲>
1.FLY
2.スレドニ・ヴァシュター
3.放浪フリーク
4.Darlin’ from hell
5.風待ち
6.リヴァイアサン
7.Golden Dawn 
8.無心の歌
9.アルファビル
10.阿
11.弁天
12.すべてのありふれた光
13.MISOGI
14.JIVE
15.Alright
16.さみだれ
17.Gifted
18.光について
EN
19.Arma
20.スロウ
21.smalltown,superhero

予約受付はこちら↓
●Blu-ray Disc
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIXL-360.html
●DVD Disc
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIBL-1039.html

GRAPEVINE OFFICIAL WEBSITE

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