さとうもか、リスナーの居場所であり続ける決意 ユニークな演出満載で楽しませた『WOOLY』ツアーファイナル

「今年、東京に引っ越してきて、いろいろと悩んでしまって。解決をせず、まあ仕方ないと思って、どんどん次のことを進めていって。それを1年間繰り返していたら、どんどん自分が変になっていく感覚があって。今回のアルバム『WOOLLY』は、そんな時のおかしいなとか、もやもやするなとか、うまくいかないことをたくさん詰め込んだので、その気持ちを今日のラストライブで全部吐き出して終われたらなと思っております」

 そんなMCを経て、「私はすごく人見知りで、なかなかすぐに仲良くなれたり、信頼し合うのが難しくて。そんな私もいつか、いちごをあげてもいいと思えるような人に出会えるかな」という思いから生まれたという「いちごちゃん」へ。ライブの冒頭は真っ赤なハンドマイクで始めたさとうは、時に緑のエレキギターやアコースティックギターも弾くが、アコギの時だけボサノヴァ風になるのが印象的だった。そして「岡山から東京に引っ越す間にいろんなことがあって。今があるのは、その時に背中を押して、手を離してくれた人がいたから。それがすごく優しいことだなと思って作った」というピアノバラード「ながれぼし」では、フロアがオレンジのサイリウムで光り輝く中で、時に何かを思い出すかのように目を硬く瞑りながらドラマチックに歌いあげた。

 「どんなに辛いことがあったり、悩んでいても、絶対に幸せを諦めてはダメだ! そんな気持ちで生きていきたい」という思いを込めたという「アイロニー」ではザクザクと力強くアコギを刻みながらスケールを拡大していく。そしてアルバムのタイトル曲「Woolly」で弱い自分と向き合い、ままならない心情や葛藤を素直に吐露した後、バンドメンバーを送り出し、一人ステージに残った。

「メジャーデビューをして、初めてのアルバムで、初めてのツアーで、人生がいろいろ変わっていく時期でした。出会いと別れが多かったなと思って。今日ライブに来てくれたみんなと会えて、私はすごく嬉しいけど、今日で会うのが最後になる人もいると思う。それがすごく寂しいけど、自分がずっと音楽をやめないで続けていれば、またどこかで、私の曲を聴いて思い出してくれるかもしれない。みんなの帰ってこられる居場所になれたらいいなと思います」

 ライブの最後に歌ったのは、ボスが最後に残した言葉でもあり、そんな風にライブに来てくれたみんなを思って書いたという「歌をとめない」だった。高校生時代に親がプレゼントしてくれたというエレクトリックピアノの弾き語りで、アーティストとして歌い続けていく決意と愛を届け、本編は幕を閉じた。

 アンコールでは「また絶対に会えるって信じてるから、それまで元気でいてください」と語りかけ、ブルージーなロックバラード「愛ゆえに」。そして、BGMとしてインストの「Woolly」が流れ出すとさとうは再び歌い始め、バンドメンバーと肩を組んでラインダンスを踊り出した。フロアからのクラップも沸き起こり、シュールで優しく温かい雰囲気の中でエンディングを迎えた。そして終演後には「もか新聞」の号外が配られ、ボスの“クマ”が早くも脱獄に成功したことが知らされたのだった。

さとうもか オフィシャルホームページ

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