AKB48、ももクロ、モー娘。……乃木坂46ら誕生した10年前のアイドルシーンを振り返る

NMB48が“アイドル不毛の地”に誕生

 仙台のDorothy Little Happy、福岡のLinQなど地方アイドル旋風が吹きつつあるなか、東京に次ぐ“日本の第二都市”でありながら、いつの頃からか“アイドル不毛の地”と称されていた大阪にも決定的なグループが登場した。AKB48の姉妹グループ、NMB48だ。前年に結成され、2011年7月「絶滅黒髪少女」でメジャーデビュー。姉妹グループとしては初となる、デビューシングルがオリコン週間チャートにて1位に輝いた。

【MV】絶滅黒髪少女 / NMB48 [公式]

 合言葉は、「てっぺんとったんで!」。てっぺんとは大阪弁で“頂点”を意味しており、大阪から覇権奪取を狙った。大阪のグループらしくお笑いとのコラボレーションが盛んにおこなわれ、吉本新喜劇への出演など実験性あふれる活動を展開。全国のアイドルファンの目を大阪に向けさせた点で、NMB48が果たした役割は非常に大きい。

 1期生は、山本彩、渡辺美優紀、木下春奈、木下百花、白間美瑠、福本愛菜、山田菜々、吉田朱里らタレント揃い。2014年には山本が『第6回AKB48選抜総選挙』で6位にランクインするなど、AKB48本体を脅かすまでに成長。以降、NMB48はメンバーの加入と卒業を繰り返し、グループ内でのポジション争いも盛んに。2021年8月、最後の1期生であった白間が卒業したことで、現在エースの座とセンター争いが激化している。

アイドル戦国時代、モーニング娘。は自分たちとの闘いに

 2011年は、様々なグループが続々とCDを全国流通させた。それだけアイドルというものが音楽商業的にも大きなムーブメントになりつつあった。

 2009年11月デビューのぱすぽ☆(2013年にPASSPO☆へ改名)は、東日本大震災の影響で発売日が延びるなどもありながら、5月に待望のメジャーシングル『少女飛行』をリリース。オリコン週間チャート1位を獲得するなどヒットを記録した。そのほか、のちのBiSHへと結びつくBiSの「My lxxx」、エキサイティングなバンドサウンドでアイドルシーンに新境地を切り開くことになるひめキュンフルーツ缶の「恋愛エネルギー保存の法則」(ちなみに同曲は可愛い系だった)、2011年の日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞したFairies(2013年からフェアリーズ表記)の『More Kiss/Song for You』などがアイドルファンのもとへ届けられた。なお、アイドルファンだけでなく、一般的な音楽リスナーからの絶賛評が相次いだ東京女子流の1stアルバム『鼓動の秘密』がリリースされたのも、この年だ。

ひめキュンフルーツ缶『恋愛エネルギー保存の法則』

 新興勢力が台頭するなか、日本の女性アイドルシーンが再び脚光を浴びるきっかけを作ったモーニング娘。(以下、モー娘。)は、当時リーダーであった高橋愛が2011年9月に卒業。一方で同年、譜久村聖、生田衣梨奈、石田亜佑美、佐藤優樹、鞘師里保(2015年卒業)、鈴木香音(2016年卒業)、工藤遥(2017年卒業)、飯窪春菜(2018年卒業)が加入。今思えば、ものすごい面々がこの年、一斉にグループに加わっている。

モーニング娘。 『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』 (MVLong)

 2011年時点で、すでに結成から14年が経っていたモー娘。は、メンバーの増員にともない、かつてのような大規模なメディア露出ではなく、ライブを積み重ねるなど徹底的に実践でのパフォーマンスを鍛え上げていった。AKB48をはじめ多くのアイドルグループがファンに成長曲線を見せるやり方を主流としたなか、モー娘。は高いボーカル力や統率がとれたダンスなど圧倒的な完成度で勝負に出ていたのだ。“アイドル戦国時代”ではグループ同士が火花を散らし合っていたが、モー娘。が向かったフェーズは“自分たちとの闘い”だった。

 乃木坂46の結成から10年。ここ最近は新型コロナの影響もあり、色々なものがガラリと変わってしまった。しかし、2011年のアイドルシーンを振り返ってみると、多くのグループがモデルチェンジしながらも活動を続けていることに気づかされる。活動歴が10年を超えるグループが今後、どのような展開を見せるのかまだまだ楽しみである。

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