エド・シーラン、『=』というタイトルが示すもの 最新アルバム楽曲がチャート上位にランクイン
アルバム全体として、80'sのシンセポップスのリバイバルだけではなく、ロック調のポップスもあり、まさにトレンドに乗ろうと制作された作品であることは明らかである。Bronski Beatの「Smalltown Boy」を彷彿とさせる「Bad Habits」はUKシングルチャート1位(※3)、The Billboard Hot100(8月30日付)で2位を獲得した。変化していく環境とキャリアに対する不安もさることながら、「First Times」「The Joker And The Queen」「2step」「Love In Slow Motion」など、基本的には愛する女性をテーマにした曲が多いアルバムだ。愛についてのフレーズで構成されたこれらの楽曲たちは、これから数年間、アメリカの高校のダンスパーティーや結婚式で大いに流れることだろう。
リスナーやメディアからのレビューが賛否両論となっている『=』であるが、エド・シーランという人物そのものが伝わってくるアルバムであることには間違いない。持ち味のポップな楽曲、少しずつ「大人」になっていく人間的成長、そして以前から彼の楽曲に見られる誰もが一度は聞いたことがあるであろう愛のフレーズ、そしてキャリアの道標となってくれた人物を失った痛み。このように、現在のエド・シーランの心に混在している様々な感情がバランスよく表現されている作品である。そのバランスと均衡が『=』という記号なのかもしれない。
(※1)https://www.billboard.com/articles/news/9616838/ed-sheeran-new-album-equals/
(※2)https://genius.com/Ed-sheeran-tides-lyrics
(※3)https://www.officialcharts.com/chart-news/ed-sheeran-scores-10th-uk-number-1-single-with-bad-habits-this-is-an-amazing-thing__33511/