「名前のない日々へ」のアウトロがキーボードで奏でられると、そのままピアノソロへ繋がり、キーボードとボーカルだけの「真っ白」へ突入。本公演の中で一番の鮮烈な印象を残した楽曲は、ふくよかで力のある、指先から感情のこもるキーボードの音とyamaの繊細な声が溶けあうように混ざり合っていた。祈りのような、夢のような「真っ白」だ。

　再びバンド編成になったチームはそれぞれのユニークなソロを挟み「ブルーマンデー」へ。続いて「麻痺」で会場を巻き込むような疾走感を生み出す。地声と裏声の狭間で張るようなメロディがさらに気持ちを昂らせる。

　アッパーな楽曲でクライマックスに向かっていくと思いきや、本編最後は「天色」。深いリバーブのかかった歌声と広がるようなドラムが優しく響く。yamaが作詞した歌詞が回想するようで、バンドの音が肩を並べた。

　アンコールは「春を告げる」からスタート。〈どうせ全部今日で終わりなんだから〉という歌詞が疾走感あるサウンドとyamaのフラットな歌い回しで投げかけられる。

　オーディエンスへの感謝と、最終日なので新曲を演奏するというMCののちに泣き虫作詞作曲の「Oz.」を演奏。サビの高音では切実さを感じ、ギターソロも切なく感情的に響く。さらに「世界は美しいはずなんだ」と新曲が続き、始まりを予感させるAメロからBメロを経てサビへとパワフルに展開した。

　歌詞を通してyamaが見る景色を共有したこの日。音以外の情報を減らした表現だからこそ、高い演奏・歌唱能力が鮮明に世界を描き出した。「また会える日を楽しみにしています」と言い残しステージを去っていったyama。「世界は美しいはずなんだ」と投げかけたあとに、一体どんな景色を描き進んでいくのだろうか。

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