アデル、「Easy On Me」での華々しいカムバックまでを振り返る 新作『30』へと続く栄光と苦悩の日々
『21』リリース後には音楽活動を辞めることを考えていたそうだが、2012年に実業家のサイモン・コネッキーとの間に息子アンジェロが生まれたことをきっかけに活動を再開したアデル。しかし、大ヒットした前作のプレッシャーもあり、深刻なスランプに陥り、何度もレコーディングは中断された。その末に、母性と後悔がテーマとなった3rdアルバム『25』をリリース。アメリカとイギリスでは2015年に最も売れたアルバムとなり、ドランが監督した「Hello」のMVも公開後、わずか88日目にして再生回数10億回を突破し、大きな注目を集めた。『21』が第59回グラミー賞の主要3部門を含む計5部門を受賞し、史上初めて“主要4部門のうち3部門を2度制覇したアーティスト”となった。その後、私生活ではサイモンと破局し、シングルマザーとなるが、そこでアデルは両親への理解が生まれ、自身の元から離れていった父のことを初めて許せるようになったと明かしている。なお、その父も今年亡くなっており、最後まで完全に関係が修復されないままの別れとなった。
アデルの楽曲では、その時々の心境や状況がダイレクトに歌われる。だからこそ『21』は痛烈な失恋アルバムとなり、『25』は子供が生まれて湧き上がってきた母性を歌ったアルバムとなった。よって、来るべきアルバム『30』は、離婚したコネッキーと友好関係を築きながらも、育児を通して芽生えた感情、許すことのできた父を失った心情、そして『VOGUE』最新号のインタビューでは新しい交際相手の存在も明らかにしており(※1)、それによって芽生えた愛情も描かれているのではないだろうか。アデルが歌ってきた心情は、多くの人が生きていく上で経験する類のものだ。だからこそ、アデルの破格の歌を際立たせたサウンドプロダクションがいくら更新されようとも、音楽そのものは変わることなく、多くの人に求め続けられていくのだろう。
アルバム『30』をリリースするにあたり、「自分の人生を牽引するために役立つ、健全な精神を見出し、自分のフィーリングをようやく取り戻すことができた。そして人生においてこんなにピースフルに感じたことがないと思える場所に辿り着いたのです。だからこそこのアルバムを発売する心の準備ができた」とアデルはコメントしている。このコメントから滲む今のアデルがいる場所は、「Easy On Me」の楽曲及びMVから感じられる晴れやかで穏やかなムードと違和感なく重なる。
※1:https://www.vogue.com/article/adele-cover-november-2021
■配信情報
アデル
「Easy On Me」
発売日:2021年10月15日(金)
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■リリース情報
アデル
『30』
国内盤・輸入盤:2021年11月19日(金)
全形態:解説・歌詞・対訳付き
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【完全生産限定盤】
SICP-6425/2860円(税込)
紙ジャケット仕様+ボーナストラック 3曲
【通常盤】
SICP-6426/2640円(税込)
【日本製造海外流通盤】(国内仕様)
アナログ盤:SIJP-113~114/5940円(税込)
ブラックヴァイナル仕様
【輸入盤】(国内仕様)
アナログ盤:SIJP-115~116)/5940円(税込)
発売日:2021年12月1日(水)
クリアヴァイナル仕様