Coldplay X BTS、TOMORROW X TOGETHER……SFがテーマのMVから考察する“垣根を超えていくメッセージ”
BTSとColdplayのコラボ楽曲「My Universe」が9月24日にリリースされた。“Universe”という言葉の通り、MVの舞台は宇宙。SF的な世界観をテーマにしたMVでいえば、BTSと同じBIGHIT MUSIC所属のTOMORROW X TOGETHER「Magic」もそうだ。それぞれの楽曲・MVには、どのようなメッセージが込められているのだろうか。2つの楽曲に注目してみたい。
リリースから1週間も経たないうちに、世界中で1億回以上のストリーミング再生数を突破した「My Universe」。9月30日に公開されたのが、アメリカ出身のフィルムディレクターであるデイブ・マイヤーズを迎えたSF全開のMVだ。CGや特殊効果を使った大規模なMVの舞台は、音楽が禁じられている遠く離れた銀河。Coldplay、BTS、そしてエイリアンたちのバンド「Supernova 7」が登場する。違う地域、違う星に住む3組が禁止令に逆らい、音楽を奏でていく。バラバラな背景を持つ彼らが、音楽という一つの目的を追いかけて絆を紡ぐ物語になっている。
韓国でのレコーディング風景を映したドキュメンタリー『Coldplay X BTS Inside 'My Universe' Documentary』にて、Coldplayのクリス・マーティンは「この曲は、愛には全てを乗り越える力があることを歌っています。国境・規則・ジェンダー・人種・性自認といった全てを。今私たちは国境によって分けられ、一緒にいることができませんが、この歌はまさにそのことを歌った曲です。どんなことも愛の力を止めることはできないと歌っています」とコメントしている。彼らの想いがぴったりと反映された映像に仕上がっていると言えるだろう。
今年も国連総会で演説を行ったBTSだが、2018年、初めて国連総会に出席したときのことを覚えているファンは少なくないはずだ。リーダーのRMが英語で行ったスピーチの中に、印象深い言葉がある。
「あなたの名前は何ですか? 何にワクワクして何に心が高鳴るのか。あなたのストーリーを聞かせてください。あなたの声が聞きたい。あなたの信念が聞きたい。あなたが誰なのか、どこから来たのか、肌の色やジェンダー意識は関係ありません。ただ、あなたのことを話してください。話すことで自分の名前と声を見つけてください」(※1)
「LOVE YOURSELF」シリーズのアルバム4部作をリリースし、『LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF』というタイトルのツアーを控えていた当時の彼ら。作品とライブにはきっとRMの言葉通りのメッセージが込められており、今回の「My Universe」までその想いは一貫している。その温かい気持ちがColdplayとBTSをつなぎ、今回のリリースに至ったのかもしれない。「My Universe」では英語の歌詞にしっかり韓国語も織り交ぜられていて、お互いが尊重され、アイデンティティがそのままに1つの作品に閉じ込められている。
〈And they said that we can’t be together Because,because we come from different sides(僕たちは一つになることはできないと彼らは言った、なぜなら僕たちは別々の場所から来ているから)〉
一見悲しく感じるこの歌詞も、MVやBTS、Coldplayからのメッセージを知ると違う意味に見えてくるかもしれない。一緒になる必要はなく、それぞれがそのままで大切にし合うことも可能なのだ。