登坂広臣、ØMIとして表現する素直な自分 BTS SUGAから受けた刺激や『iCON Z』への想いも語る

登坂広臣、BTS SUGAからの刺激

 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカル・登坂広臣が、今年5月にØMI名義でのEP『ANSWER... SHADOW』をリリースし、自身がプロデュースするプロジェクト・CDL entertainmentを本格始動。そして10月15日、その第2弾となるデジタルシングル『ANSWER... SHINE』をリリースした。アーティストとして生きる上での“闇”を描いた前作に続き、今作にはファンへの感謝という“光”の部分を描いた2曲を収録。リード曲「You (Prod. SUGA of BTS)」をプロデュースしたBTSのSUGAとの制作エピソードや、歌手デビュー10周年で感じた自分の変化、LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』への想いなど、今の心境をたっぷり語ってもらった。(斉藤碧)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

曲のメッセージにもぴったりな「You」というタイトル

ーー『ANSWER... SHINE』は、前作『ANSWER... SHADOW』とは真逆の“アーティストとして生きる上での光”にフォーカスした作品です。前作のインタビュー時にもすでに“光”のお話が出ていましたが、実際はいつ頃から着手していったんでしょうか?

登坂広臣(以下、登坂):『ANSWER... SHADOW』を制作している頃から『ANSWER... SHINE』のことも考えていましたが、実際に曲を作り始めたのは『ANSWER... SHADOW』の制作が終わった1~2カ月後くらいですね。リード曲「You」をプロデュースしてくれているBTSのSUGAくんとも、その頃からリモートでやりとりしていて。リリースタイミングとしては半年ほど空きましたが、水面下ではずっと動き続けていました。

ーー『iCON Z ~Dreams For Children~』でØMIさんがプロデューサーを務めるプロジェクトも、HYBE LABELS JAPANとの共同プロデュースになりますけど、SUGAさんとの繋がりもそこから始まっているんでしょうか。

登坂:そうですね。EXILE HIROさんとHYBEのパン・シヒョク会長は以前から交流があり、おふたりの間で「世界に向けて面白いエンタテインメントを発信していきたいですね」という話をされていたんです。そのプロジェクトに僕も参加させていただいているので、「会社同士で規模の大きな仕掛け(オーディション)をする前に、アーティスト同士でセッションができたらいいですね」と僕から提案して、SUGAくんとのコラボレーションが実現しました。

 BTSはトップアーティストですし、僕も以前から聴いていましたが、特にSUGAくんはリードラッパーでありながら楽曲プロデュースもされている多才な方で、彼が生み出すヒップホップサウンドや世界観がすごく好きだったんです。それで「SUGAくんと何かできないですかね?」とオファーしたところ快く引き受けてくれて、直接2人で緻密にやりとりしながら曲を作り上げていきました。

SUGA(BTS)

ーー「You (Prod. SUGA of BTS)」はエッジの効いたビートにギターサウンドを織り交ぜたポップチューンですが、「こういう曲調にしたい」といったリクエストは事前にSUGAさんに伝えていましたか?

登坂:『ANSWER... SHADOW』の時は音楽ジャンルの話をせずに、MVの映像を想定しながら作り始めたんですが、今回は曲調のイメージに合ったプレイリストを作って、SUGAくんに聴いてもらいました。そしたら、「わかりました!」と言ってすぐに2~3曲デモを送ってくれて、スピード感にビックリしましたね(笑)。理解力と瞬発力がすごい人だなって。その中から「You」を選んでブラッシュアップしていきました。曲調としてはポップスなんだけど、カントリーミュージックっぽさもあって。でも、SUGAくんが作っているからどこかK-POP感もあるし、それを日本人の僕が歌っているっていう絶妙なバランスで成り立っている曲ですね。そういうどこの国の音楽かわからない感じが面白くて、歌っていても新鮮でした。

ーーアーティスト同士のコラボレーションだと、どこまで自分の色を出すか、どこまで相手の色に染まるのかというバランスも難しそうですね。

登坂:「こういうトップライン(メロディ)がいい」という希望は伝えていたんですが、彼の色に染まることがプロデュースしてもらう意味だと思うので、トラックに関してはSUGAくんに身を委ねる部分が大きかったですね。とはいえ『ANSWER... SHINE』自体は僕のテーマに合わせた作品ですから、前作からの流れや「ファンの皆さんや身近にいる大切な人への感謝を込めたい」という話は、事前に細かく説明していて。SUGAくんも僕のやりたいことを理解して、丁寧に向き合ってくれました。

ーー作詞のクレジットにはSUGAさんの他、UTAさんやYoheiさんなど、いつもØMIさんが一緒に制作している方々の名前も並んでいますね。

登坂:ボーカルディレクションも担当しているUTAくんや、作詞に参加しているYoheiくんは普段からBTSの楽曲を手がけているので、僕らの橋渡し的な役割をしてくれました。その結果、プロデュース曲ではありますが、ファンの方一人ひとり=“You”への想いをしっかり感じていただける楽曲になったと思います。

ーー前回のインタビューの際に「『ANSWER… SHADOW』や『Colorblind』に出てくる〈君〉も、『Can You See The Light』に出てくる〈you〉も、全部ファンの皆さんのことを指している」と話していましたけど、今回「You (Prod. SUGA of BTS)」というタイトルを見て、あの発言は伏線だったのかとハッとしました。

登坂:あはは。でも、「You」というタイトルは僕のほうから提案したわけではなくて、もともとSUGAくんが上げてくれたデモのタイトルだったんですよ。SUGAくんとしては単純にメロディにはめやすい言葉として〈You〉を使っていたみたいで、彼が英語で歌っている仮歌も〈You〉を繰り返していたんです。それがすごく印象的で、曲のメッセージ性にもピッタリ合ったので、そのままタイトルも「You」で行くことにしました。

ØMI - You (Prod. SUGA of BTS) -Official Music Video-

「SUGAくんはトップアーティストだけど、純粋に音楽好きな青年」

ーー三代目 J SOUL BROTHERS 10周年の重みも加わり、なおさら「You (Prod. SUGA of BTS)」が胸に響きますけど、10年以上歌い続けていても初めて見せる一面があるというのは、ØMIさんが攻めの姿勢を貫いている証拠だなと感じます。

登坂:そうですね。きっと、SUGAくんのプロデュースっていう新しい環境に飛び込まなかったら、開かなかったページだと思います。ソロ活動のスタート時はAfrojackがサウンドプロデュースをしてくれていたんですけど、歌詞のテーマやトップラインは自分で考えていて。それ以降は曲作りにしても映像にしても、ほとんどセルフプロデュースでやってきたので、自分で自分を染めていく感覚だったんです。でも、今回は初めてソロを完全にプロデュースしてもらって、たくさんの発見や刺激をもらいました。

ーーちなみにソロ活動がスタートした頃は、ØMIさんがEDM、今市(隆二)さんがR&Bという棲み分けが明確にありましたよね。その後、ELLYさんや岩田(剛典)さんもソロデビューを果たし、今ではメンバー間でジャンルの棲み分けがなくなっているように思うのですが、その点はどう考えていますか?

登坂:なぜスタート時にジャンル分けができていたかというと、Afrojackがサウンドプロデューサーとして参加してくれたことで、彼の主戦場であるダンスミュージックがメインになっていたからなんですよね。僕もEDMは好きだったし、自然とそういう方へ向かっていったんです。それは隆二も同じで、ディアンジェロやニーヨ、ブライアン・マックナイトと一緒にやっていると、自然とR&Bの色が強くなるじゃないですか。

ーー今市さん、憧れのブライアン・マックナイトの家にホームステイしていましたもんね(笑)。

登坂:そうそう(笑)。そういうふうに、スタートの頃は僕らの後ろについていた人の影響が強くありました。でも、そもそも自分の中には「俺はEDMだ」っていう概念がなかったので、セルフプロデュースでやり始めてからは、自分のルーツであるヒップホップやR&Bもどんどん投影していくようになって。そのうちジャンルにこだわらなくても、各メンバーの色が確立されていったんじゃないかなと思います。特に今回はSUGAくんがいたので、自分の好みに関しても「絶対こういうジャンルの曲にしたい」という凝り固まった考えは捨てて、フレキシブルにやりたいなと思っていました。

ーーでは、SUGAさんとの制作において、新たに発見したことや挑戦したことを教えてください。

登坂:SUGAくんって世界的なトップアーティストでありながら、純粋に音楽が好きな青年なんですよ。だからトラックを提供して終わりというわけではなくて。僕の楽曲ですけど、SUGAくんも自分の作品の1つとして捉えて、こだわりを持って作ってくれました。例えば僕が歌ったデータを送ると、「このフレーズはもっとこういうふうに歌ってほしい」とか「ここのメロディはこうしてほしい」とか、結構細かい要望をつけて戻してくれるし。それを受けて僕も「だったら全体的にキーを1つ上げてみよう」って、大幅にキーチェンジをしたりしました。そういうやり取りを何度も繰り返して、お互いのこだわりを積み重ねていったので、3回くらいレコーディングし直しましたね。ソロでもグループでもあまりない経験でした。

ーー1サビの後ろにはラップ調のパートもありますね。〈心地良いね〉と〈僕等本音〉の間にはブレスのような声も入っていて、ご自身の声を1つの楽器のように使っているのが面白いなと思いました。

登坂:あの声はSUGAくんのデモにすでに入っていて、その歌い方を真似して歌ったんです。まさにラッパーであるSUGAくんの色が出たところですよね。これまでもラップパートを歌ったことはありますが、こういうフレージングは今まで歌ったことがなかったので、SUGAくんに細かくアドバイスをもらいながら録っていきました。

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