『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.2 Chapter #1』レビュー
水咲加奈、SUKEROQUE、寿々叶……新人発掘プロジェクト『Enjoy Music!』から生まれた個性豊かなシンガーたち
SUKEROQUE「Ferment」
ジャポニズム的でオリエンタルな歌詞世界と、R&B、ソウル、ファンクといった強いグルーヴ感が混ざり合う独特なスタイルを持つSUKEROQUE。作詞・作曲を手掛けるマルチな才能 Shohei Sasakiのソロプロジェクトである。
「Ferment」では彼の抜きん出たワードセンスも冴え渡り、都市生活特有の悩みや喜び、葛藤をシニカルな視点で描き出し、まるで市井に生きる何者でもない私たちの代弁者であるかのように感じさせる。〈腐敗〉〈発酵〉というワードを対照的に使うことで、人生の捉え方の二面性を効果的に表現。冒頭の〈腐敗していく 発酵していく 何か違うの 確かに違うな 〉という提起が、〈逢うべき君と出逢えたなら それこそ発酵する為の「キッカケ」だ〉と、「腐敗」「発酵」のメタファーの中で見事に着地する瞬間には思わず鳥肌が立つ。
また、様々なバックグラウンドを感じさせるミクスチャーなサウンドは、現代的にアップデートされたシティポップのようで、ローの効いた印象的なシンセベースとShohei Sasakiに甘くメロウなボーカルが溶け合う瞬間は官能的でさえある。ドラマティックでダンサブルな楽曲に仕上がっていることもあり、深夜に都会をドライブしているような感傷と爽快感がクセになる1曲だ。
寿々叶「向日葵」
大阪の大学に通いながらミュージカルやコーラスグループ、舞台などで活動する寿々叶。そんな等身大な彼女から溢れ出すのは、王道を行く清涼感溢れるポップソングだ。アーティストとしてオリジナル楽曲をリリースするのは今回が初めてだというが、そのフレッシュで伸びやかな歌声は、今後も彼女の武器となっていくに違いない。まさに「向日葵」のタイトルにぴったりな夏の晴れ渡った空に似合う歌声である。
かき鳴らされたギターに〈もう引き返せない/芽生えたきもち/胸焦がす/君の優しい横顔〉という、これ以上ないストレートな歌い出しは90年代J-POPのようなキャッチーさ。この一瞬で寿々叶の爽やかな魅力が伝わってくる。もりたさやかが手掛けた、恋の行方を「向日葵」に見立てた甘酸っぱい歌詞も、屈託のないボーカルによって説得力を持って響いてくる。さらに保本が編曲だけでなく作曲も担当しているだけあって、軽やかさや緩急の付け方は匠の技。自然と口ずさみたくなるサビのメロディから、ポップソングの美学を余すところなく感じることができる。
このように寿々叶の魅力を最大限に引き出し、瑞々しい状態で真空パックされた「向日葵」。保本とアーティストが生み出す化学反応は『Enjoy Music!』プロジェクトの醍醐味ではないだろうか。コロナ禍をはじめ、様々な困難が降り注ぐ今の時代。底抜けに明るく逆境に咲く花のような寿々叶の歌声には、くすんでしまった心に希望の光を投げかけるパワーが秘められている。
■リリース情報
『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.2 Chapter #1』
2021年10月20日(水)配信リリース
ダウンロード/ストリーミングはこちら:https://nex-tone.link/A00091606
<収録曲>
01.生残者 / 水咲加奈
02.Ferment / SUKEROQUE
03.向日葵 / 寿々叶
■ライブ情報
Enjoy Music!ジョイミューラジオ!Presents
「ジョイミューBig Waves Live Tour! in Tokyo & Kobe」
【東京編】
日付:2021年11月13日(土)
会場:新宿ReNY
チケット:前売 ¥3,000 当日 ¥3,500
出演者:水咲加奈 / SUKEROQUE / 坂上太一
OA:ネオンテトラ
【神戸編】
日付:2021年11月27日(土)
会場:神戸VARIT.
チケット:前売 ¥2500 当日 ¥3000
出演者:きばやし / 山田あさひ / 中野大地
OA:Sigma-T
チケット販売開始はこちら↓
ローソンチケット:https://l-tike.com/enjoymusic/
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