乃木坂46 柴田柚菜、弓木奈於、掛橋沙耶香、筒井あやめ……『乃木坂スター誕生!』で引き出されたメンバーの個性

 先述した「雲になればいい」を柴田と歌っていたのが弓木奈於。弓木と言えば、番組内でも爆発させているそのぶっ飛んだ天然キャラがイメージに強いが、歌って踊れるメンバーの一人でもある。ダイアモンド✡ユカイとの「男と女のラブゲーム」は、松陰寺が「ビーナス弓木」とあだ名を付けるほどの、弓木のアダルトな雰囲気を象徴したデュエットだった。この番組をきっかけに結成された金川紗耶が率いるダンスユニット・スーパーやんちゃんず(金川、遠藤、松尾美佑、田村真佑)とのTRF「EZ DO DANCE」ではボーカルを担当していた弓木が、後にスーパーやんちゃんずへと参加。歌、ダンスと両極で活躍できるメンバーであることを証明している。金川、松尾がダンスを、賀喜と弓木がダブルボーカルを務めたSPEED「Body&Soul」は、その最たる例だろう。また、「EZ DO DANCE」のパフォーマンスに、DJ KOOがTwitterで反応。その後、すぐに弓木×DJ KOOというかなり挑戦的な組み合わせのラジオ番組『TOKYO SPEAKEASY』(TOKYO FM)が放送されている。

 ビーナス弓木に負けない、自称4期生のセクシー担当・掛橋沙耶香もまた『乃木坂スター誕生!』で活躍した一人に数えられる。掛橋への選曲は、小泉今日子「渚のはいから人魚」、大塚愛「さくらんぼ」といった笑顔弾ける楽曲が多く、加入初期から掛橋にあるハツラツとしたイメージと一緒に、「渚のはいから人魚」の〈ズキンドキン〉、「さくらんぼ」の〈あなたと〉のようなフレーズで、彼女の高音の伸びが活かされる2曲でもある。一方、1stシーズン中盤以降は一青窈「ハナミズキ」、岡本真夜「TOMORROW」、イルカ「なごり雪」といった聴かせるポップス/フォークソングも多く披露している。特に「なごり雪」は、アコースティックギターの弾き語り。バンドマンの過去を持つ松陰寺が認める流麗なアルペジオ、さらにギターを抱え安堵する掛橋の表情がその挑戦の意思を表している。

 メンバーの魅力を引き出す1曲1曲には選曲の妙を感じさせるが、その要素が最も強いのが筒井あやめだろう。特に広末涼子「MajiでKoiする5秒前」と筒井の相性は抜群。ひそひそ声のカウント5、その場を歩く愛らしいダンス、トレーナーにジーパン、スニーカー、ポニーテールと、メンバーが言っていたように筒井の「保護者」みんなが守りたくなる非の打ち所のないパフォーマンスだ。それと同じベクトルにあるのが田村とのPUFFY「渚にまつわるエトセトラ」であるが、当時の薬師丸ひろ子と同じ17歳にある筒井が歌う「セーラー服と機関銃」は低めでハスキーな歌声を活かした大人っぽい雰囲気の漂う歌唱でもあった。また仲良しの清宮レイとのTEE「ベイビー・アイラブユー」では、乃木坂46の楽曲には少ないラップも披露。北川悠理と林瑠奈が本格的な自作ラップをお披露目するなど、何かと『乃木坂スター誕生!』にはラップが度々登場している。例えば、チャレンジ曲としてRIP SLYME「楽園ベイベー」を選曲するなど、2ndシーズンではさらなる音楽ジャンルに挑戦するメンバーの姿も見てみたい。

 11日の初回放送では、ピンク・レディー特集として未唯mieが登場。本人から直接指導でメンバーがピンク・レディーの楽曲を披露する。さらに、2ndシーズンからは毎週先輩メンバーも参加し、初回には樋口日奈が出演する。この12月でお披露目から3年を迎える4期生と先輩メンバーとのシナジーが、2ndシーズンの大きな見どころになるだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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