SUPER★DRAGONのツアー『SIX DAY』スタート 結成から6周年、彼らの掲げる“ミクスチャー”は新たな次元へ

 ツアータイトルは『SIX DAY』。簡単に言えば『NEO CYBER CITY -ネオサイバーシティ-』の続編となるサイバーパンクの世界観に通じるコンセプトライブで、近未来的な映像と9人のパフォーマンスによって、シリアスななかにも愛くるしさやユーモアを散りばめた、ポップかつエッジィでスペクタクルなステージを繰り広げた。そんな彼らのパフォーマンスに応えるように揺れる、7月に開催されたファンクラブ会員限定ツアー『18 EYES』で、事前に公募していたファンネームが「BLUE」に決定したと発表された流れを受けて、観客一人ひとりが手に持っていたブルーのライト。コロナの感染防止対策のため声が出せない状況を引き合いに出すのは、皆が我慢している空気も伝わってくるため不謹慎かもしれないが、「目は口ほどに」ならぬ、「光は口ほどに」。古川毅が「BLUE」への感謝を述べていたが、メンバーもそこに宿るエモーションを心に刻み込んだことだろう。

 今回のツアーは『SIX DAY』と銘打っているように、メンバーたちの選択によって物語の結末が異なる6つのパラレルワールド的な設定になっており、セットリストも会場によって変わるという。なので、ここで初日の詳細なレポートを書いても完全なネタバレにはならないのだがあえて伏せておくとして、それでもひとつ特筆したいことがある。この日、ファンの前に初お目見えとなった、まさに6周年を迎えた今日、9月27日にリリースされた新曲「X」についてだ。

 SUPER★DRAGONは「9人組ミクスチャーユニット」と掲げ、ここまでの6年を歩んできた。その初期のロールモデルとなっているのは、90年代~00年代のLimp BizkitやLinkin Parkのような、日本では「ミクスチャーロック」と言われる、大雑把に言えばロックとヒップホップを混ぜ合わせたバンド音楽。それをあえてボーカル&ダンスのパフォーマンスユニットで展開してくことが彼らのオリジナリティの源流だった。そこからさらに、ハウス/EDMやベースミュージック、10年代以降のヒップホップやK-POPなど、さまざまなジャンルのサウンドを柔軟に採り入れ、その音楽性を磨き上げてきたわけだが、「X」では「ミクスチャー」すなわち「さまざまな要素が混ざった」という言葉そのものの意味とあらためて向き合い、その解釈を広げ再定義しようとする強い気持ちを感じた。

 実にSUPER★DRAGONらしい、トラップやエレクトロ、ミクスチャーロックなどがクロスオーバーするポストEDMサウンドは、今回の『NEO CYBER CITY -ネオサイバーシティ-』~『SIX DAY』の近未来的な物語と共鳴し合うように、時空を捻じ曲げるかのごとくエクストリームな展開をみせる。そこに、JUNのサポートを受けてメンバーの古川毅、ジャン海渡、松村和哉で初めて3人で書き上げたリリックが乗り、彼らの提唱する「ミクスチャー」は新たな次元に到達した。

 〈全ては混ざり合うのさ〉、〈闇を越えて俺ら生きる今を 風と雲と音を抜けた向こうの居場所〉といったポストコロナへの意志を感じる言葉や、〈誰にも替え難い人生 型にハマるようじゃつまらない〉というSUPER★DRAGONを象徴するようなメッセージと、MCで古川が話していたように、それぞれの個性を持つ「BLUE」たちが照らす青いライトが一体となった、サウンドスタイルとしての「ミクスチャー」という枠を超えた「トータルミクスチャー」。多種多様なカルチャーや個性が一つになれる、ライブという空間の、ダンスフロアの持つ原点的な魅力が未来に向かって大きく花開いた瞬間がそこにはあった。

 そしてツアーはまだまだこれから。前述したように、会場によってストーリーもセットリストも異なる。そして新曲「X」に込められたメッセージ。この物語にはまだ続きがあるのか。もしくはまた新たな何かがスタートするのか。早くもSUPER★DRAGONの2022年やコロナ収束後の動きが楽しみで仕方がない。

■ライブ情報
『SUPER★DRAGON ONE MAN LIVE TOUR 「SIX DAY」』
2021年9月26日(日) 【東京】中野サンプラザ
2021年10月2日(土) 【愛知】一宮市民会館
2021年10月3日(日) 【愛知】一宮市民会館
2021年10月31日(日) 【兵庫】神戸文化ホール 大ホール
2021年11月28日(日) 【神奈川】神奈川県民ホール
2021年12月19日(日) 【東京】立川ステージガーデン

■配信情報
「X」
https://ssm.lnk.to/X_SD

オフィシャルサイト
https://super-dragon.jp/

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