『ユイカ』「好きだから。」アジア各国でなぜヒット? TikTok発女子高生シンガーソングライターが歌う“両片想いソング”の普遍性

『ユイカ』「好きだから。」

 TikTokやYouTubeとどのように向き合うかが、今の音楽シーンにおいて重要になっている。ヒット曲や人気アーティストが誕生するきっかけの場として、近年は特に影響力が強いからだ。例えば瑛人「香水」のように無名アーティストが、動画サイトやSNSをきっかけに国民的ヒットを生むパターンが生まれた。YOASOBIやAdo、優里のヒットもそれらの影響が強い。ファンの口コミやSNSによる共有がファンを増やす要となっている。そんな時代の空気の中で、いま注目を集めているアーティストが、現役女子高生シンガーソングライターの『ユイカ』だ。

 『ユイカ』は当初TikTokを中心にJ-POPの弾き語りカバーを投稿して活動していたが、2021年3月に投稿したオリジナル曲「好きだから。」がTikTokやYouTubeでバズったことをきっかけに、若者を中心に一気に支持を集めた。TikTokのフォロワー数は現在5万人を超えており、公式YouTubeチャンネルは約9万人の登録者がいる。YouTubeの公式MVは公開から約2カ月で590万回再生(8月22日時点)を突破、本人による弾き語り動画も数十万回再生を超える動画がいくつもある。

好きだから。/ 『ユイカ』【MV】

 〈かっこいいから好きなんじゃない。好きだからかっこいいんだよ。〉という歌詞が印象的なラブソングだ。この歌詞が共感を生み、TikTokで楽曲を使用した動画を投稿するユーザーが増え始めた。また一般ユーザーによるカバー動画も続々と投稿されている。今まではカバーする側だった『ユイカ』が、カバーされる側のソングライターになった。公式YouTube上でコード譜が公開されているので、ファンがカバーしやすい環境が整っていることも投稿数が伸びた理由かもしれない。

 また人気歌い手の天月-あまつき-が「好きだから。」をカバーしたことも注目すべき点だ。最初は一般ユーザーのカバーが中心だったものの、楽曲がクチコミ的に広がったことでプロのシンガーや人気アーティストの元にも届きカバーされるようになった。それによって「オリジナルは誰の曲なのか?」と気になるリスナーが増え、そこから知名度と人気がさらに上昇したと考えることができる。Spotifyで7月29日付の「バイラルトップ50(日本)」で2位にランクインしたことも忘れてはならない。このことはきちんと楽曲が評価され聴かれ続けていることを証明している。

好きだから。 Cover / 天月

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