香取慎吾、新たに描いた絵「愛Love」に込めた日頃の思い 歩みの中で変わらぬ“先駆者”としての姿
香取慎吾が創刊より描き続けている『週刊文春WOMAN』の表紙絵が、同誌vol.10(2021年夏号)で10枚目となった。香取の胸のあたりにまで迫る大きなキャンバスに描かれた作品のタイトルは「愛Love」だ。
今号の特集テーマが「ジェンダー&フェミニズム」であることを聞いた香取は、様々な人の顔を思い浮かべながら、赤や青のインクで目や鼻や口、髪の毛を描き重ねていったという。
「普段から思うのが、あのお手洗い入り口にある赤とか青のシルエットを見て、一瞬で女性用/男性用と認識できるのって、刷り込まれたイメージがあるからですよね。だから逆にそういう色を使って、誰をどの色でと決めずに描いてみたんです」と、香取はインタビューに答えた。
赤と青と性別。香取は、いつも感じている思いを、色に乗せて作品に塗り込んだ。そして「今回の絵とも通じるものがある」と続けたのが、4月に開催された『さくら咲く 歴史ある明治座で 20200101 にわにわわいわい 香取慎吾四月特別公演』のクライマックスのことだ。
青の服を着た男の子と、赤い服の女の子。赤に着替えたり、青のまま混ざったり、男女に限らずいろいろな組み合わせでペアダンスを踊り、そして一面が真っ赤に染まるという演出を考えた。その直前には、一人ひとりの顔と名前を紹介するコーナーも。それは「男」「女」「バックダンサー」という記号的な役割にとどまらない、個々の存在感を示そうとした香取の挑戦のように感じた。
しかし、それほど個性を大切に考えている香取でさえ、日頃ハッとすることがあると明かす。写真を撮る際に「男の子はすぐに撮れるけど、女の子たちは用意があるだろうから、ちょっと待つね」という言葉を発した後、「よく考えたら、男の子のなかにも時間がほしい子はいたかもしれない」と自問自答したというのだ。
「男だから」「女だから」……そうした大きな括りで物事を語ることそのものがナンセンスになりつつある昨今。言葉がよりデリケートに響く時代になった印象だ。自分の発した言葉が誰かを傷つけたりしていないだろうか。そう、ただ言葉を発するだけでなく、一旦考えてから発言を求められるようになった。
それはきっとこれまで届かなかった声が、様々な方法で発信できるようになったためだ。今まで聞き流されていた言葉に、疑問を投げかけられる機会が増え、当たり前だと思われていた価値観が改めて考え直されるようになった。もしかしたら、その変化に戸惑っている人もいるかもしれない。
だが、香取は「そうやって今まで気づいていなかったことを考えるのって、それ自体はいいことだと思うんです」と語る。その姿に、彼が時代の変化と共に求められるアイドルであることを再認識させられた。彼は、思考し続けること、変化していくことを常にポジティブに発信してきたのだ。