METAFIVE、再始動~5年7カ月ぶり新作『METAATEM』に高まる期待 特級ミュージシャン集う音楽集団の最新モードを紐解く

 METAFIVE、いよいよ本格再始動である。7月に4年7カ月ぶりのライブが、そして8月11日には5年7カ月ぶりの新アルバム『METAATEM』が予定されている。

 METAFIVEは2016年10月にミニアルバム『METAHALF』をリリース、同年11月~12月にかけて全国4箇所5公演のツアーを行ったあと、休眠状態に入る。そして昨年7月に「METAFIVE. STILL ALIVE.」なる動画を突如公開、続いて3年9カ月ぶりの音源となる新曲「環境と心理」をリリース。その直後に高橋幸宏の入院があって、一時的にバンドとしての動きが止まるものの、今年5月になって、『METAATEM』のリリースと、自主企画ライブ『METALIVE 2021』の開催、そして『FUJI ROCK FESTIVAL '21』への出演が立て続けに発表されたのである。そんな待望の作品の中から露払いとしてニューシングル「The Paramedics」が6月25日にリリースされた。

「The Paramedics」MV

 アルバムの先行公開となる「The Paramedics」は、2019年に制作された楽曲で「環境と心理」とは対照的に、ハードでカッティングエッジなニュー・ウエイヴ~エレクトロファンクで、緩みのない四つ打ちと閃光のようなギター、重厚なシンセリフが重戦車のように突き進むスリリングなダンスナンバー。BPMは120ぐらいだが、体感速度はもっと速く感じられる。

 1stアルバム収録の「Don't Move」も同じぐらいのテンポだったので、これぐらいが気持ち良く演れて踊れるというメンバーの感覚なのだろう。演奏はシャープで切れ味抜群、メンバーそれぞれのソロなどと比べても際だってハードでエネルギッシュでテンションの高い楽曲である。コンピューター制御された演奏だが、生々しい肉体感覚もある。これぞMETAFIVEのバンドサウンドである。

 また同曲のMVも先日公開された。香港や韓国のノワール映画を思わせるような荒れた画面と、都市の繁華街のビルの地下室や片隅の薄暗がりを想起させるような不穏で不吉な映像、攻撃的なエレクトロファンクのミクスチャーがたまらなく刺激的だ。この映像は、処女作『SPACY』(1981)が世界中で高く評価され、それ以降も数々の前衛的映像作品を発表してきた実験映像作家・伊藤高志の過去の映画作品をメンバーが自由にリミックスして制作したものだという。つまりこの曲のために新たに撮り下ろされた映像はないわけだが、曲の世界観がこのMVによって的確に具現化され、さらに広がった感がある。

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