バイラルチャートを賑わすバンド、Måneskinとは何者か? ロックをベースに多彩なグルーヴ奏でるイタリアの新世代
ロックバンドとして紹介されることの多いMåneskin。ルックスだけを見ると往年のグラムロック風ではあるが、彼らの音楽性を「ロックバンド」とひと括りにするのはあまりにもったいない。たとえば、「I WANNA BE YOUR SLAVE」のヘビーなドラムスと耳に残る歪んだギターのリフはThe White Stripesを彷彿とさせるものの、ボーカル表現はどちらかというとHIPHOPからの影響を感じる。イタリア語特有の長く、強い発音がアクセントになり生み出されるグルーヴは独特でクセになる。
「I WANNA BE YOUR SLAVE」「ZITTI E BUONI」いずれの楽曲も収録されている2ndアルバム『Teatro d'Ira - Vol. I』を通して聴いてみると、Franz Ferdinandばりのダンサブルな楽曲から、縦ノリのヘヴィメタルやパンクにルーツを感じる楽曲までジャンルにこだわらないMåneskinの美学を感じることができる。アルバム単位で評価するとある種のごった煮感は否めないものの、そんな「評価」なんてどうでもよくなるほど、純粋に手放しで楽しめる1枚だ。
Måneskinというバンド名は、デンマーク語で「月光」を意味するらしい。地球からおよそ38万kmも離れた月面から届く光のように、Måneskinの音楽もイタリアから遠く離れた日本に住む我々の心に力強く届いている。
■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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