TWICE、最新作『Taste of Love』から見える“愛”を追求する姿勢 キーワードは「成長」

TWICE『Taste of Love』

 人気ガールズグループ・TWICEが2021年6月11日、韓国で10枚目となるミニアルバム『Taste of Love』をリリースした。前作ではクールなダンスポップで大人びた表情を見せていた彼女たちだが、本作では歌も踊りも明るいトーンに仕上げている。夏向けの作品なので当然と言えば当然であるものの、以前のようなキラキラした感じは若干薄めで、比較的落ち着いた曲調が多い。

 公式の資料によると本作は「ロマンあふれる雰囲気と愛におちいる瞬間を表現した」ものであり、「リスナーに魅惑的なくつろぎのひとときをプレゼントする」ために制作したという。本作のリードトラックである「Alcohol-Free」は、その意図がはっきりとわかる歌詞とサウンドが耳を引く。

TWICE "Alcohol-Free" M/V

 作詞と作曲、そして編曲(共作)したのはグループの育ての親であるJ.Y. Parkだ。歌詞では、恋する相手をノンアルコールのドリンクに例え、それでも飲むと酔ってしまう主人公の気持ちを爽やかに描き出す。ナイロンギターの涼し気な音色をベースにしたボサノバ風のトラックにヒップホップのフレーバーを加えた曲作りは、聴き手を穏やかな気分にさせてくれる。

 オープニングを飾る「Alcohol-Free」以降はメンバーが作詞した収録曲が続くのも本作の注目すべきポイントである。JIHYO(ジヒョ)が歌詞を書いた「First Time」は“君の息づかいに目が閉じると/舞い散る花びらになって揺らめく”という歌いだしからわかる通り、相手に初めて覚えたときめきを表したもの。徐々に盛り上がっていくソウルフルなアレンジも歌詞の世界観にジャストフィットしており、聴き心地がとてもいい。

 再びソウルフルなアレンジで勝負する「Scandal」はDAHYUN(ダヒョン)が作詞。恋の炎が燃え上がる瞬間をテーマにした歌詞と、70年代のディスコミュージックを思わせるリズムとの相性は抜群だ。ちなみに冒頭のウィスパーボイスはCHAEYOUNG(チェヨン)が担当。短いながらもインパクトのあるフレーズにアーティストとしての成長を感じさせる。

Scandal

 SANA(サナ)が参加した「Conversation」は、エレクトロポップ的なアプローチで制作したダンスポップ。恋に落ちたときの気持ちを歌い上げ、歌詞は“私は成し遂げた、成し遂げたんだ”といった力強い言葉が目立つ。落ち着いた音像のわりにポジティブなオーラを強く放っているのは、こうしたSANAの言葉選びによるものだろう。

Conversation

 「Baby Blue Love」もかなりポジティブなナンバーである。愛を育む喜びを夏の青い空に例えた歌詞はNAYEON(ナヨン)が担当した。90年代R&Bミュージック風の華やかなサウンドが歌の世界観によく合っている。タイトルは自身の“メンバーカラー”を意識したもので、そのようなちょっとしたサービスも彼女のファンにとってはたまらないだろう。

Baby Blue Love

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