ACIDMAN、配信ライブで発売前のアルバム曲披露 迫力ある映像演出が可能にした新しい楽曲の届け方

 5月21日に初回配信された「ACIDMAN ニューアルバム配信ライブ」。タイトルの通り、この日バンドは、今秋リリース予定の12thオリジナルアルバムの収録予定曲を初披露した。MCによると、本来であれば今頃にはアルバムをリリースし、ツアーをまわっていたはずだったが、新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響で諸々の作業がストップし、スケジュールが一旦白紙になってしまったとのこと。そんななか、「作ったものを1日でも早く聴いてもらいたい」という想いから「配信(ライブ)をもう一度やろう」というアイデアに至ったそうだ。思えば、“ライブで新曲初披露”というのはファンにとって嬉しいサプライズである一方、ライブ会場特有の熱気にあてられ、“興奮しすぎて記憶が飛んでしまった”というジレンマとも隣り合わせだ。そう考えると、配信ライブは新曲お披露目にうってつけの場所かもしれない。いつもより冷静に、かつ各楽器の動きがクリアに聞こえる環境で新曲を堪能できるうえに、アーカイブ期間中には繰り返し観ることも可能なわけだ。

 演出面における主なトピックは2つ。ひとつは、この配信ライブの会場が、Fanicon(ファニコン)を運営するTHECOO株式会社が今年3月にオープンした配信スタジオ「BLACKBOX³」だったこと。「BLACKBOX³」には2つのスタジオが併設されていて、今回ACIDMANが使用したのは、左右後方+床の4面LEDパネルを設置した「BOX STUDIO」。これによって迫力ある映像演出が実現可能となったことが彼らにとっては大きかったらしく、大木伸夫(Vo/Gt)は「この場所がなかったらこの企画は考えられなかったと思う」と語っていた。

 もうひとつは、ラスト1曲を残したところである方法によって明かされたアルバムタイトル。タイトルは『INNOCENCE』。純真、無垢、潔白といった意味を持つ単語だが、2017年リリースの前作『Λ』にも“白”というワードが頻出していたため、コロナ禍を経てバンドの哲学・価値観が抜本的に変わったわけではなさそうだ。大事なことをさらに大事にするようになった、あるいは、大事だと思い込んでいたけど実はそうではなかったものが削ぎ落された。そういった温度感の、純度を追求した作品なのではと想像できる。

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