西城秀樹「YOUNG MAN」ヒットの理由は“無思想”にある マキタスポーツ×スージー鈴木が教える、80年代歌謡曲の紐解き方

 マキタスポーツ、スージー鈴木の“音楽ずきおじさん”たちによる楽曲解説が楽しい『ザ・カセットテープ・ミュージック』(BS12 トゥエルビ)。80年代にカセットテープで聴いていた音楽を中心に紹介し、コード進行の秘密やヒットソングに至った理由、背景などを解説している。

 5月15日に再放送される第73回目の放送のテーマは「元気になれる曲」。マキタスポーツがタイトルを紹介しつつも、「普通じゃないか!」と言えば、スージー鈴木も「コード進行どこいったんや!」とツッコミ。冒頭から辛口なコメントで笑いを誘う二人。

左からマキタスポーツ、酒井瞳、スージー鈴木

 実は、自身のラジオ番組でも似た企画を行っているというマキタスポーツ。イントロを聞くだけでアガる楽曲を、「イントロ・ザ・ジャイアント」と定義。イントロを聞いただけで、デカッ!とスケールの大きさを感じる楽曲として紹介したのが、西城秀樹「YOUNG MAN (Y.M.C.A.) 」だ。1979年リリースの、誰もが知るヒットソングだ。その誕生秘話から原曲ヒストリーまでを一気に解説したのだが、マキタスポーツによる軽妙な話術に引き込まれた。

 「YOUNG MAN」ヒットの理由の一つに、“無思想”があるとマキタスポーツ。「この曲って元ネタがありましてVillage Peopleって言うディスコ音楽をやっていたユニットがあったんですけど、これのカバー曲なんです。Village Peopleっていうのは、あるコンセプトを基に作られた集団なんですよ」と、原曲ヒストリーに触れた。

 Village Peopleはゲイカルチャーを歌詞に取り入れていたといい、「男性同性愛者たちの楽園というかそういったことをコンセプトにしてたのがこのVillage Peopleという人たち。しかもY・M・C・Aっていうのは、キリスト教の文化的施設のことを言ってるわけですよ。そこに行くとユースホステルっていう、安く若者が泊まれるような宿泊施設があって、そこに行って楽しくみんなでやろうよ!ていうことを歌ったうたです」と紹介した。

 楽曲を気に入り、カバーを希望した西城秀樹だったが、いまでこそLGBTに対する理解が深まっているが、楽曲をリリースした1979年ごろの日本ではまだ受け入れられる状況ではなかった。そこで、西城のマネージャーが和訳を担当。Village Peopleの文脈にはゲイカルチャーに対する外圧や反逆精神が盛り込まれていたが、それらを抜いて「YOUNG MAN」に改題、ジャパンナイズしたという。

 「西城秀樹さんがこの曲のそういう思想とか、バックボーンとか関係なくして、この曲歌いたい、カバーしたいんだっていうことに絆されて、マネージャーさんが訳詞をして、その思想の部分が抜け落ちた状態になっているから、この曲自体の良さがダイレクトに伝わって、こんなに盛り上がったんじゃないかと思うんですよ」と熱量をもって解説した。

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