音楽ライブやフェス、3度目の緊急事態宣言で迫られる開催判断 積み重ねてきた感染者ゼロの実績

 2020年は音楽業界及びエンタメ業界にとって冬の時代だった。過去最悪な事態と言っても過言ではない。それぐらいに新型コロナウイルスの影響は直撃していた。

 多くのライブが中止や延期になった。公演が開催された場合も密を避けるため、客席の収容人数は最大キャパの50%以下にするよう協力を求められ、ほとんどの公演がそれに従っている。かつて当然に開催されたライブの形が成立しなくなってしまった。

 ぴあ総研は、集客エンタメ産業における、新型コロナ禍によるダメージの最新データを公表している(※1)。音楽産業の売上消失額は特に大きい。2020年2月から2021年1月の1年間の市場規模は前年から88%減。演劇や映画など他のエンタメ業界を超える損失割合だ。

 特に音楽フェスの市場規模は大打撃を受けている。前年の330億円から97.9%減(323.1億円減)の6.9億円、総動員数も同295万人から96.8%減(285.7万人減)の9.3万人(※2)。毎年全国で行なわれたフェスのほぼ全てが中止、あるいは無観客での配信ライブにシフトした形となった。

 それでも少しずつライブは開催され始めている。昨年末にはTHE YELLOW MONKEYが東京ドーム公演で約2万人を収容し、感染者を出さずに公演を成功させた。最近では9mm Parabellum BulletがLINE CUBE SHIBUYAで着席時のキャパシティ100%でのライブを行った。こちらも会場からの感染者は報告されていない。感染者ゼロの実績を積み重ね、少しずつ元に戻るために前進している。

 1年以上もの間、観客はマスク着用を徹底し、公演中に声を出すこともない。検温や消毒をしてから入場している。密を避けるために余裕を持った入場/規制退場を行う場合がほとんどだが、ほぼ全ての観客が協力している。運営は徹底的に感染症対策を行い、観客はそれに素直に従っている。

 2020年3月にライブハウスからクラスターが発生した。しかしそれ以降、ライブ会場でのクラスターは報告されていない。「ライブ会場は危険ではない」と結果を持って伝えるために、音楽を愛する全員が一丸となって感染症対策を徹底しているからだ。

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