Sexy Zone、進化はこうして始まったーー海外ポップス×J-POPの実験重ねた音楽変遷

Sexy Zone

 今から約1年前、「本格的な海外進出も視野に入れて活動していきます」というコメントと共に、ジャニーズ事務所とユニバーサル ミュージックジャパンが新たに設立した新レーベル<Top J Records>へ所属レコード会社を移籍したSexy Zoneは、今年に入ってから、初期の楽曲を含む複数楽曲のYouTubeでのミュージックビデオの公開や、全英語詞による初のリード曲「RIGHT NEXT TO YOU」の発表など、明確に海外に目を向けた活動を進めている。同楽曲がそのクオリティの高さから、彼らのファン層を超える多くの人々の注目を集めることになったのも記憶に新しい(BALLISTIK BOYZ「Animal」とSexy Zone「RIGHT NEXT TO YOU」、ファンベース超えて届いた理由 サウンドを徹底解説)。

 だが、これらの動きは決して突発的な動きというわけではない。「RIGHT NEXT TO YOU」以前も、彼らは海外ポップスのトレンドを取り入れた楽曲に挑んでいる。そして、そのやり方には彼らの「海外進出」に対する姿勢を感じ取ることが出来るだろう。

海外のトレンドとSexy ZoneらしいJ-POPを融合する、カップリングという実験場

 実はSexy Zoneは、レーベル移籍以降のシングル作品において通常盤のカップリング曲に全英語詞の楽曲を収録するという取り組みを続けている。そして、この「カップリング」という場所が海外トレンドを吸収する一つの実験場となっているのである。

 移籍後初となるシングル『RUN』に収録されている「Small Love Song」はMarshmelloやThe Chainsmokersといった著名なダンスミュージックプロデューサーの影響を強く感じさせるフューチャーベース(キラキラとしたシンセサイザーのフレーズと、ダブステップやトラップの力強いビートが特徴的なダンスミュージック)であり、トラップビートに乗せたラップパートも用意されている。この時点では未知なる挑戦とも言える本楽曲だが、発音やトラップのフロウといった難所も見事に歌いこなしており、これまで様々な楽曲に取り組んできた彼らの実力を改めて実感することが出来るだろう。

 続く『NOT FOUND』収録の「Arms Around Me」では、The Weekndやハリー・スタイルズの近作に代表される80年代の影響が色濃いディスコポップを取り入れているが、注目するべきはサックスの鳴らすメロディやリバーブによる演出などにおいて、近年海外から熱視線を集めている日本のシティ・ポップの影響も感じ取れるということだ。結果として、この楽曲は両者の良いとこ取りのような、単にトレンドを模倣したものではない、これまでに聴いたことのないような新たな“J-POP”に仕上がっているのである。

 このような傾向は『RUN』に収録された「So Sick」でも見られるものである。最小限のギターとシンセサイザーの音色とビートを中心に構成された同楽曲はJ-POP、特にアイドルグループでは異例と呼べるほど音数の少ないトラックに仕上がっており、エド・シーランといった海外ポップスのプロダクションを彷彿とさせる仕上がりだ。この曲は全英語詞ではないが、歌詞には英語詞が多く織り交ぜられており、響きも英語の発音を意識した瞬間が多い。だが、(特にサビにおける)情感に溢れたメロディが示す通り、あくまで楽曲全体の印象やそこにある魅力は歌謡曲的、J-POP的なものになっている。

 レーベル移籍以降のSexy Zoneのカップリング曲を中心とした取り組みは、まさに彼らが海外へ視野を広げていることを強く示しているものである。だが、そこから垣間見えるのは、彼らが単にこれまでのJ-POPサウンドから海外のトレンドを意識したサウンドへ「乗り換える」のではなく、いかに彼らの魅力であるJ-POPらしさを活かした上で、海外のトレンドを取り込めるかを試行錯誤する姿だ。