4s4ki、アンビバレントさに包まれた優しさ ポップスターへの予感抱いた初ワンマン

 周囲をバリケードで囲われた空間の中で、魂を抜かれたかのように不気味に中央に並べられた、何体かの小さく可愛いぬいぐるみたち。スクリーンにはシュールでサイケデリックなビジュアルが次々と映し出される。その正面でスポットライトを浴びる女性は思っていた以上に小柄で、ピンクの差し色が映えるトップスに、ピンクのインナーカラーで染め上げたヘアスタイル、そしてピンクのアイカラー、彼女こそが本日の主役・4s4ki(読み:アサキ)である。なるほど、これまでインターネットで、SNSで、イベントで、断片的に発信されていた4s4kiならではの「かわいい」を、シャーマニックさとキッチュさとグロテスクさで切り刻んだような独自の世界観で空間アート化するとこうなるのかと感嘆し、そのステージに期待感を抱く。2018年のインディーズデビューから早3年、彼女が23歳の誕生日を迎えた日の夜、ついに4s4kiは恵比寿LIQUIDROOMにて初のワンマンライブを行うこととなった。

 4s4kiの魅力とは何だろうか? 様々なチャームポイントが挙げられるが、私は、彼女のアンビバレントさに包まれた優しさこそが多くの人の心をつかんでいるのだと思う。これまでぼんやりと抱いていたそのような印象が、はっきりと確信に変わったライブだった。

 この日「SUCK MY LIFE」からスタートしたライブは本当に初のワンマンかと疑うほどに多数のキラーチューンで構成されていて、「ラベンダー」や「I LOVE ME」等それらを堂々と歌う姿からは、本日のステージが4s4kiのこれまでの活動の集大成であり、次に向かうための区切りだという決意を感じる。無軌道なリズムとノイズの中で紡がれるメロディラインがライブだとどのように表現されるのだろうかと注目していたのだが、予想以上に“丁寧に歌い上げる”パフォーマンスに少々驚いてしまった。なかむらみなみ、Mega Shinnosuke、 Gokou Kuytら多くのゲストも登場したステージだったが、その間も彼女のスタンスは変わらず、時に淡々と、時に情感を込めて歌い続ける。音源と同様、ライブでもオートチューンが施されていたが、しかし彼女の歌心はしっかりと伝わってくる。中盤「ずっとお前を殺したかった」「escape from」では弾き語りで丁寧にメロディを届けていて、このあたりは、さすが路上ライブ出身者の力量を感じた。

 どれだけ鋭くノイジーでジャンクなビートを鳴らそうと、ポップなメロディを“歌い上げる”という彼女のアンビバレントさは、観客のリアクションにも表れていたように思う。なかなかに凶暴な音楽性でありながら、(コロナ感染拡大対策により声を出してのレスポンスが禁じられていたことも一因だろうが)観客がやけに落ち着いて聞き入っており、オーバーな動きがほとんど見受けられない。それは盛り上がっていないのではなく、むしろ凶暴性の中でポップなメロディを歌いきる彼女に聞き入っていて、そこで皆が感じ取ろうとしているのはほかでもない彼女の優しい体温なのであろう。優しい。エフェクトがかかっているにもかかわらず、なぜ4s4kiはこんなにも透き通った、優しげな声を届けられるのだろうか。