UVERworld、フジファブリック……進化続ける日本のロックサウンド 最新作をレビュー

 映画『ブレイブ -群青戦記-』の主題歌を収めたUVERworldのニューシングル『HOURGLASS』、JUJU、幾田りら、秦 基博をフィーチャーした楽曲を含むフジファブリックのニューアルバム『I Love You』などをピックアップ。変化と進化を続ける日本のロックサウンドの現在をたっぷりと味わってほしい。

UVERworld『HOURGLASS』(通常盤)
UVERworld『HOURGLASS』(通常盤)

 結成20周年記念日の2020年6月6日、デビュー15周年記念日の7月6日に配信ライブを行うなど、コロナ禍で迎えたアニバーサリーイヤーを駆け抜けたUVERworldから、2021年第1弾シングル『HOURGLASS』が届けられた。タイトル曲「HOURGLASS」(映画『ブレイブ-群青戦記-』主題歌)は、雄叫びのようなコーラスから始まるミディアムチューン。現行のオルタナR&Bにもつながるドープなトラック、そして、アコギ、生のベースの響きを活かしたアンサンブルを融合させたサウンドは、2020年代におけるロックバンドの在り方を端的に提示。自由度を増したボーカルライン、〈どんなに不自由だとしても/心だけは自由で在るべきだろう?〉というフレーズも刺激的だ。さらに10代の恋愛をテーマにしたリリック、最新鋭のヒップホップを取り入れたサウンドが一つになった「Teenage Love」を収録。サウンドメイク、ソングライティングの両面で、このバンドは今も果敢なトライを続けている。

UVERworld『HOURGLASS』(映画『ブレイブ -群青戦記-』コラボver.)

 Sadisticsを想起させるファンキーなインスト「LOVE YOU」で幕を開けるフジファブリックの新作『I Love You』は、制作のすべてをメンバーだけで担った前作『F』から一転、多彩なゲストボーカル、プロデューサーを迎えた作品となった。「赤い果実 feat.JUJU」はAOR系のサウンドのなかで〈揺るぎない仕合わせを〉信じていた恋人たちの感情を描いたミディアムチューン。ネオソウルを経由したグルーヴと〈あなたへの愛を怠ったりなんてしない〉というフレーズが響き合う「たりないすくない feat.幾田りら」、恋人と別れた“僕”の日常と狂おしいまでの後悔を歌い上げた「あなたの知らない僕がいる feat.秦 基博」(トオミヨウの弦アレンジも最高!)も、明らかに新機軸だ。アルバムの最後を飾る「光あれ」は小林武史との共同アレンジ。しなやかなストリングスとソウルフルなアンサンブルとともに“素敵な日々は続いていく”という祈りを放つ2021年のシティポップだ。

フジファブリック 『たりないすくない feat.幾田りら』

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