平井 大、令和世代からの強い支持は歌詞における“愛情表現”にあり? ライター荻原梓氏に聞く

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって様々なものの距離が離れてしまった2020年。物理的な部分はもちろん、ステイホームなどによって精神的な面でも人と人との間に距離が生まれてしまった一年であったように思う。そんなコロナ禍で、TikTokをはじめとするアプリを中心に、その音楽で離れていくディスタンスを埋めてくれたアーティストがいる。それが平井 大だ。

 2020年以前からすでに人気を獲得していた平井 大だが、昨年5月には2週間に一度のペースで新曲を配信リリースするという企画をスタートさせた。5月リリースの「Life goes on」を皮切りに、スターバックス初となるアーティストコラボレーションソングとなった「Starbucks, Me and You」を配信した12月末まで企画は続いた。そして、2月10日には同企画での一連の楽曲、さらに新曲を加えた形でコンパイルされた配信アルバム『Life Goes On』がついにリリースされたのだ。

平井 大 / Stand by me, Stand by you.(Lyric Video)

 先日には連続配信の第8弾シングル「Stand by me, Stand by you.」が、Billboard JAPANストリーミングソングチャート“Streaming Songs”で累計再生回数1億回を突破したことも報じられ、まさに2020年から2021年にかけて多くの人に聞かれたことが証明された平井 大。では、この約10カ月の間、彼の存在を押し上げた要素とは一体何なのだろうか? J-POPを中心としたコラムなどを多くのメディアに寄稿している、ライターの荻原梓氏に話を聞いた。

 平井 大を特に聞いているであろう世代、つまりは若いリスナーを中心になぜこれほどまでに彼の存在が現象化しているのだろうか。荻原氏は以下のように分析する。

「まず、昨今若者の間で人気のアプリTikTokでの発信を積極的に行っている点が挙げられます。平井さんは昨年の5月頃からTikTokにウクレレの弾き語りを中心としたショートムービーを投稿をしていますが、動画には『癒される』『落ち着く』といった感想が多く寄せられています。また、瑛人や優里、りりあ。といった“令和世代”のアーティストからの支持も大きなポイントです。いずれもSNSで大きな影響力を持つミュージシャンばかりで、彼らが発端となってデジタルネイティブ層にもファンベースを拡大していると考えられます。そして、連続配信リリースという企画そのものも自身の話題を絶やさないという点で重要です。サブスクを利用するリスナーは常に新しい音楽を求めています。新作を出し続けることによって、新しいものに敏感なユーザーたちの目に触れる機会が多くなるのは必然でしょう」

 TikTok、令和世代のアーティストによる支持、そして連続配信による話題性の継続と、まさにSNSが日常に溶け込んだ、今の時代のリスナーに寄り添っているかのような要素が並ぶ。

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