平井 大、令和世代からの強い支持は歌詞における“愛情表現”にあり? ライター荻原梓氏に聞く

平井 大、令和世代からの支持集める“愛情表現”

 だが、前述の要素をクリアしていたとしても音楽=楽曲そのものが響かなければ現象化するに至らない。では、それらを現象化に結びつけた平井 大の楽曲の魅力とは? 荻原氏は歌詞の点に注目し、以下のように語る。

「平井さんの歌詞は純粋でストレートな愛情表現が魅力です。たとえば、「僕が君に出来ること」での〈24/7 365日の限りある永遠(とわ)を生きよう〉であったり、「Stand by me, Stand by you.」での〈これは75億分の一人と 一人が出会って恋に落ち〉のように、スケールの大きい表現を使うことで愛情の強さや深さが伝わってきます。また、キミのことを〈お転婆なプリンセス〉と表現するようなファンタジー感も魅力の一つ。そして、その両方の魅力をあわせ持ったのがシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をモチーフにしたという「Romeo+Juliet -Love goes on-」です。〈「100万回のKissの後ね」とキミが笑った〉〈とびっきりのロマンス〉など、平井さん特有の“壮大”なスケール感の“ファンタジック”な魅力が詰まった作品です」

 本来の『ロミオとジュリエット』は、イタリアはヴェローナの街を舞台に、モンタギュー家の一人息子=ロミオと、そのモンタギュー家といがみ合っていたキャピュレット家の一人娘=ジュリエットの恋愛悲劇である。とある出来事をきっかけにロミオとジュリエットは出会い恋に落ちる。だが、敵対する家同士のいざこざや、それによって引き起こされた“あってはならないすれ違い”によって最後に2人とも命を落とすーーそんなバッドエンドな作品なのである。

平井 大 / Romeo+Juliet -Love goes on-(Lyric Video)

 だが、平井 大が「Romeo+Juliet -Love goes on-」で描いたストーリーには、“バッドエンドにはしない/させない”と言わんばかりの強い想いが込められている。それが特に表れているのが2コーラス目のBメロ〈すれ違うシーンも布石にしちゃって 誰もがココロ打たれるエンディングを迎えよう〉という部分。つまりは、先に説明した本来のストーリーでバッドエンドを迎えてしまう布石である“あってはならないすれ違い”を、平井 大はそれすらも布石にしてハッピーエンドへ向かうよう舵を切っているのだ。バッドエンドをハッピーエンドに、しかも本来の物語のクライマックスすら一つの通過点として捉え直す手腕は、まさに“壮大”で“ファンタジック”な表現者・平井 大の真骨頂と言えるかもしれない。

 そんな平井 大の魅力を堪能できるアルバム『Life Goes On』は、2020年の活動の記録、そして2021年を迎えて次なるステージへ歩みだしたことが感じられる作品になっている。現在はTVやYouTube、TikTokなどを通じてそのパフォーマンスを見ることができるが、きっとこの新曲群をライブ会場で聴いたとき、平井 大のさらなる可能性に気づくことができるかもしれない。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

『Life Goes On』

■リリース情報
平井 大
デジタルアルバム
『Life Goes On』
2021年2月10日(水)リリース
各配信リンクはこちら

<収録曲>
01. Life goes on
02. 祈り花 2020
03. EndlessSky
04. 僕が君に出来ること
05. Lonely Beachy Story
06. 陽のあたる場所へ
07. GIRL FRIEND
08. Stand by me, Stand by you.
09. Sayonara
10. Holiday
11. ここにあるもの
12. 冬の予感
13. Starbucks, Me and You
14. 題名のない今日
15. Romeo+Juliet -Love goes on-
16. ここにあるもの (Orchestra Ver.)

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