『4EP1』インタビュー

どんぐりず、地元・群馬で“何にも縛られず”音を鳴らす理由 「4EP」シリーズに込めた遊び心と表現意欲

 地元である群馬県桐生市を拠点に活動する二人組、どんぐりず。緩やかなラップとボーカルの交差、変幻自在で中毒性のあるトラックメイクによってじわりじわりと存在感を増していた彼らだが、昨今では『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の企画「音楽のプロが選ぶ2020年楽曲ベスト10」にて、蔦谷好位置が「nadja」、川谷絵音が「マインド魂」を選出。ヒップホップなどの枠すらも飛び越えて、幅広いリスナーを虜にしているホットなユニットである。

 そんな彼らが、連作プロジェクト「4EP」シリーズのリリース構想を発表した。これは2021年から2022年にかけてジャンルの異なる4作のEPを発表するプロジェクトということで、その第一弾として「Dance」をテーマにした『4EP1』が2月3日にリリースされた。第二弾以降は「Funk/Afrobeat/Dub」「Hip Hop」「Pop/R&B/Soul」がテーマになっていくということだが、フルアルバムではなく、こうしたシリーズプロジェクトにまず積極的に取り組むところに、どんぐりずの面白さと核心が表れているように思う。彼らのルーツ、活動スタンスから、「4EP」シリーズに向けた想いまで、インタビューでたっぷり語ってもらった。(編集部)

どんぐりず “4EP” Teaser

「同じアンテナを持ってるイケてる若者の集いとかはない」

ーーまずはお二人のバックグラウンドからお聞きしたいと思います。もともと幼馴染のような関係なんですよね?

チョモランマ:そうですね。地元は群馬県桐生市で、すげえちっちゃい田舎の町なんですよ。二人の実家がすごく近くて、俺が一つ年上ですけど、必然的に一緒の小学校に通っていました。今、俺が23で、森が22です。

ーー小学校の時の友達と一緒に音楽をやろうと思ったきっかけは?

森:よく下校中に二人で歌とか歌っていたんですよ。その感じでだんだんギターとかも使って、ふざけ出したりして……みたいな。それが中学生くらいの時ですね。

チョモランマ:最初はめっちゃ軽いノリです。「ヒマだな」って。

チョモランマ

ーー最初は今みたいなスタイルじゃなかったですよね?

チョモランマ:おふざけ系でしたね(笑)。一時期、ハードコアバンドを組んでいるときもありました。高校生くらいの時、日本のラウド系ロックバンドや、海外のハードコア、メタルコアとかがめっちゃ好きだったんです。俺は特にニューヨークのハードコア系が好きで、Biohazardとかを聴いていましたね。周りでもそっち系が流行っていて。

森:街全体を見たら、バンドもちらほらいました。その時は俺らの見た目も今とは全然違って、俺は五厘の頭で全身ミリタリーウエアを着てママチャリに乗っていて、こいつはすっげえロン毛で耳(のピアス)を拡張してダボダボのタンクトップを着ていたんです。

ーー森さんは、その頃からボーカルだったの?

森:はい、俺は楽器は弾けないので。バンド時代は地声多めで、低い声でシャウトとかしていました。

どんぐりず / nadja

ーーそこから、今みたいなラップのスタイルに移ったのはどういったきっかけだったんでしょうか?

森:もともとラップも好きだったんですよ。日本のラッパーだと5lackとかを聴いていて、「わあ、かっけえ!」と思って。単純にその頃からラップが好きになったんですよね。

ーーチョモランマさんもバンドから切り替えて、いろんなタイプのビートを作るようになっていった感じですか?

チョモランマ:心に何かを決めて方向性を切り替えたこととかはなくて、意外と自然な流れでここに至る、という感じなんです。

ーーどんぐりずのサウンドって不可思議な感じがあって、ジャンルもクロスオーバーしている感じがあるじゃないですか。コラージュ的な感覚というか。だから、チョモランマさんもすごく豊かな音楽的経験を積んでいるんだろうな、と思って曲を聴いてきました。

チョモランマ:そうだったらいいんですけど、俺のすげえよくないところの一つは、映画とか音楽とか、全然覚えていられないんですよ。そんな感じだから、レコ屋に通い詰めてるとか、めっちゃ曲を聴きあさってるとか、そういうバックグラウンドがないんです。曲を作っている時は結構熱中しちゃうんですけど、インプットが弱くて。なので今、インプットを増やしたいなと思っているところです。

ーー今回の『4EP1』にしても、大きい「Dance」というテーマの中で、2000年代の日本のハウスっぽいビートがあったり、現行のヒップホップ的なビートがあったり、いろんな要素が詰まっていますよね。

チョモランマ:地元の桐生の街には、同世代の音楽友達がすごく少ないんですけど、10、20歳年上の先輩たちがいっぱいいるんです。その人たちに面倒を見てもらっているので、いろんな音楽を教えてもらう機会は多いかなと思います。

ーーMVのクリエイティブな感じなどを見るに、華やかで文化的なパーティーライフを送っているのかと思っていました。

森:そんなの、全然一つもないですよ(笑)。同じアンテナを持ってるイケてる若者の集いとかはないです。

どんぐりず – NO WAY

「意識しないことを意識してます」

ーー本当に独自のやり方でスタイルを築いている感じなんですね。今回は4連作のEPで、それぞれ「Dance」「Funk/Afrobeat/Dub」「Hip Hop」「Pop/R&B/Soul」をテーマに順次リリースされるということですが、このアイデアは自体はどのように生まれたものですか?

チョモランマ:もともとアルバムを作る話があったんですけど、「どんなアルバムを作りゃいいんだよ」みたいな話になって。世間的にも、どんぐりずってどんな音楽を作るのかまだ予測できていないわけだし、俺ら自身もそこに関してはちょっと掴めていなくて。アルバムを作るとなると、内容もぐちゃぐちゃになっちゃいそうだなと思ったんです。それで、テーマを決めて6曲くらいの作品を数回に分けて作ったら、結構楽しいんじゃないかなって。

ーーなるほど。今回は「Dance」がテーマですけど、そもそもダンスミュージックという枠組み自体も大きいじゃないですか。ビート選びの作業など、どうやって制作に当たったのでしょうか?

チョモランマ:まずは二人で型のようなものを決めて、そこから取り組んでいきました。今作のトラックメイキングに関しては俺の趣味が入りすぎている部分もあるんですけど、単調な四つ打ちばっかりになると嫌だな、というところを意識したんです。そうなるとちょっと解釈が狭くなるじゃないですか。例えば「E-jan」は四つ打ちじゃないし、ビートのテンポも結構遅い曲なんですけど、あの曲を「Hip Hop」じゃなくて、あえて「Dance」の方に入れたいなとか、そういうことを考えながら作っていきましたね。

ーー曲によって森さんのラップとチョモランマさんのボーカルが交差していますが、ビートができ上がってから、それぞれのパートを入れていくのでしょうか?

森:そうですね。それぞれが自分のパートを考えるという感じです。あと、いいメロディが出たらお互いに聴かせ合って、声が合う方がそこを歌うようにして。

ーーリリックの内容など、お互いがアドバイスをすることもありますか?

チョモランマ:それはないです。

森:基本、自分のリリックが好きなので。

ーーどんぐりずが語られるときに「ウィットに富んだ歌詞」とか「ユーモアに溢れた」みたいに形容されることも多いかなと思うんです。変な言い方ですけど、曲や映像として表現するときに「捻くれてみよう」とか「わかりにくくしてやろう」とか、そういうことって意識していますか?

チョモランマ:「やってやろう」みたいにやると、つまらなくなってしまいますよね。根が捻くれているんだとは思うんですが、最近はそこまでそういった点は意識していないと思います。

森:もうやりたいようにやっている感じで。

チョモランマ:今になって「どんぐりずらしさ」みたいなーー過去に俺らがふざけた音楽をやってたところまで意識しちゃうと、結構ヤバいものになりそうな気がしていて。

ーーそれは良くない意味で「ヤバい」ってことですか?

チョモランマ:そうですね。だから意識しないことをめっちゃ意識してます。