millennium parade、ずっと真夜中でいいのに。……自己プロデュース能力発揮された新譜5作をピックアップ
BiSHのアユニ・DによるバンドプロジェクトPEDROによる、初の日本武道館単独公演(2月13日)に向けたニューシングル。表題曲「東京」(作詞:アユニ・D/作曲:松隈ケンタ/編曲: SCRAMBLES)は、超アッパーなビートと歪んだギターサウンドを軸にしたオルタナロックチューン。自分自身を肯定できなかった女の子が状況をきっかけに好きなこと、やりたいことを見つけ、〈恥ずかしがることなんて 何もない〉という思いに至るプロセスを刻んだ歌詞には、アユニ・D自身のドキュメントのようだ。カップリングの「日常」は、PEDROの音楽的な要である田渕ひさ子が作曲・編曲を担当。きらびやかで繊細なギターフレーズ、穏やかさと激しさを内包したメロディとともに、かけがえのない日常の大切さを歌ったこの曲は、当たり前の日常の素晴らしさが失われた現在の社会のなかで美しく響く。
「大迷惑星。」がTikTok、Twitter、YouTubeなどで拡散され、知名度が一気にアップ。「くしゃくしゃ。」「ケロケ論リー。」などもネットを中心にヒットし、新世代シンガーソングライターとして大きな注目を集めている泣き虫の初のCD作品『rendez-vous』は、奥深く、鋭利な歌心がたっぷりと込められている。ロックナンバー「からくりドール。」、攻撃的なギターリフと語りを取り入れたボーカルが一つになった「アイデンティティ。」、シティポップ的なサウンドを取り入れた「アルコール。」など、バリエーションに富んだ楽曲のとともに、韻を重視したリリック、独特のハスキーボイスをじっくりと堪能できる作品だ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。