YOASOBI、「夜に駆ける」から『NHK紅白歌合戦』出場、1st EP『THE BOOK』発売までの軌跡を徹底解説

「群青」での新たなコラボ、小説集の発売

 2020年9月1日、「たぶん」のリリースからほどなくして発表された「群青」は、山口つばさが『月刊アフタヌーン』で連載中の漫画「ブルーピリオド」とのコラボレーション、さらにブルボンの「アルフォートミニチョコレート」とのタイアップという、これまでとは異なるアプローチによる異色作で、原作はCM用に用意されたストーリーテキスト「青を味方に。」。

 本作では、ikuraはもちろんのこと、彼女が所属する“ぷらそにか”のピックアップメンバーに加えてAyaseがコーラスに参加、夢と向き合う若者への応援歌を高らかに歌いあげた。なお、この時点では、本作のMVは発表されず、代わりに動画「アルフォート×YOASOBI Special Movie 『群青』 inspired by ブルーピリオド」を配信。後日(12月1日)牧野惇によるクラフト・パペットを組み合わせた手作り感満載のMVが配信された。本作、アートアニメファンは必見である。

【公式】ブルボン アルフォート×YOASOBI Special Movie 『群青』 inspired by ブルーピリオド
YOASOBI「群青」Official Music Video

 なお、同月18日、既発3曲(「夜に駆ける」「あの夢をなぞって」「たぶん」)の原作小説に、のちに発表される「アンコール」の原作『世界の終わりと、さよならのうた』(作・水上下波)を加えた4作品+YOASOBIインタビューで編んだ『夜に駆ける YOASOBI小説集』が刊行(双葉社刊)、巻末には購入者特典として、ikuraによる『タナトスの誘惑』の朗読動画閲覧用QRコードが掲載された。ちなみに、本書、本稿執筆時点の市中在庫は7刷だが、先頃、再び重版が決定している。

「たぶん」映画化で生まれた新たな可能性

 11月13日には「たぶん」を原案にした同名映画が公開(監督・Yuki Saito)、偶然にもメインキャストのひとりが、ikuraの親友で女優の小野莉奈だったことも話題になった。この映画によって、YOASOBIの世界に新たな可能性が生まれたようだ。

 そして、昨年最後のリリースが、TOKYO FMの人気番組『JUMP UP MELODIES TOP20』へのゲスト出演をきっかけに制作された「ハルカ」(原作・鈴木おさむ『月王子』)。初お披露目は12月11日の同番組で、その後、12月18日に伊豆見香苗によるMVと配信限定シングルが同時リリース。主人公は人ではなくマグカップというユニークな作品である。

YOASOBI「ハルカ」Official Music Video

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