YOASOBI、Official髭男dism、DISH//……2020年、コロナ下で生まれた新しいヒットの形

 音楽ストリーミングサービス「AWA」が、今年の全ユーザーの利用動向をまとめたランキングを公開した。

 公開されたのは「2020年でよく聴かれた曲」、「2020年でよく聴かれたアーティスト」、「2020年新着アーティスト」、「2020年よく歌詞が表示された曲」、「2020年よくコメントされたアーティスト」の5種。これらのランキングから今年の国内音楽シーンを振り返ってみたい。

”ヒゲダン旋風”が吹き荒れた

 ランキングによると、2020年に最も再生された楽曲はOfficial髭男dismの「Pretender」だったという。同バンドは他にも「I LOVE…」、「宿命」、「イエスタデイ」、「ノーダウト」、「115万キロのフィルム」をトップ10に送り込んでおり、2019年の「Pretender」のスマッシュヒットに引き続き、今年も”ヒゲダン旋風”が吹き荒れていたことが確認できる。これはストリーミングサービスならではの現象だ。ストリーミングチャートはCDランキングに比べて長期間ランキングを維持したり、ヒット中のアーティストの別の作品がランキングを席巻したりする傾向にある。なぜならプレイリスト機能によって何度も聴かれたり、簡単にそのアーティストの過去作品に触れることができるからだ。また、チャートインすることで人々の目に止まり、さらに新しいリスナーを増やしていくという好循環も生まれていると考えられる。CDランキングでの成績が従来ほど存在感を示せなくなった今、今後はストリーミングでロングヒットすることがアーティストに求められるミッションとなるだろう。

待ち望まれた”解禁”

 一方で、今年ストリーミング配信を開始したアーティストで最も聴かれた「2020年新着アーティスト」のトップ3は、1位から順に米津玄師、aiko、サザンオールスターズと並んだ。いずれもビッグネームで多くの人々に待ち望まれた解禁だったことがうかがえる。ただし、米津やaikoは別として、サザンのようにアナログレコードが主流だった時代にデビューしたアーティストであってもこれほど多くストリーミングで聴かれているのは見過ごせない結果だ。当然ニーズはあったのである。逆に言えば、解禁前までは”機会損失”だったと考えるべきだ。アナログ世代からすればネット上のプラットフォームは若い世代にもアピールできる恰好の場であり、竹内まりやや今年なら松原みきなどの例にもあるように、海外からの偶発的な再評価を生む土壌にも成り得る。ジャニーズについても同様だ。ジャニーズ事務所所属タレントによるチャリティーユニット・Twenty☆Twentyは、たった1枚のシングルで、もさを。やりりあ。といった若い世代から絶大な人気を誇る歌い手たちと肩を並べる再生数を叩き出している。嵐が「2020年でよく聴かれたアーティスト」で5位としっかりと結果を残していることからも、他の多くのジャニーズ所属アーティストが、すぐそこにあるチャンスや可能性を逃してしまっているような気がしてならない。

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