ビルボードチャートでの躍進、『I-LAND』人気、aespaらバーチャルとの接近……DJ泡沫×NICE73が2020年のK-POPを総括

DJ泡沫×NICE73が2020年のK-POPを総括

2021年はバーチャルコンテンツに尽力?

DJ泡沫:今年はライブという生身の人間同士が接触する機会が失われてしまったので。結局バーチャルなつながりやオンラインコンサートしか手段がない。そういう時に2次元コンテンツは強いですよね。元々接触がないものですから。そういうことを考えると、生身の接触がないけれど、いかに生身でつながっているように感じさせるかという、バーチャルなコンテンツに力を入れざるを得ないのかもしれません。

NICE73:その環境に慣れていれば、もうそういうものだとなっていくから、10年ぐらいで変わっていきそうですね。

DJ泡沫:日本もそうですが、アジア圏から韓国って1時間ぐらいで来れる距離ですけど、南米や欧米のファンは、10何時間飛行機に乗って来ないと生身のアイドルを見られない。それだったらほとんどネット上でしか見ていないから、バーチャルと同じでようなものなのかもしれません。

NICE73:そのバーチャルの質をどれだけ上げていくかがテーマになりそうですよね。そこで人気の差が出てきそうな気がする。

DJ泡沫:『リーグ・オブ・レジェンド』にしてもそうですし、元々韓国はオンラインゲームが盛んなので、アバターを作ったり、それを3次元で動かす技術はあると思うので、そういうのが得意な会社と共同でやることも増えるかもしれないですよね。Big HItも上場した時に芸能事務所ではなく、オールマイティなウェブコンテンツの会社を目指していると言っていましたし(参照)。包括的にバーチャルでコミュニケーションする手段、新しいものを作るというのもそこに入ってくるんだと思います。

NICE73:なるほど。もはやアイドル論じゃなくなってますね(笑)。

DJ泡沫:(笑)。でも、ビルボードチャートに入っているK-POPアイドルたちは、1年のほとんどは近くにはいない存在なんですよね。テレビで見られるわけでもないし、ローカルのテレビで、その国の言語で喋っているのを見られるわけでもないので、画面上で見ている存在で。それがここまで人気が出ることと、バーチャルに進もうとしているのは重なる部分があるのかもしれません。

K-POP界で増える日本人メンバーたち

NICE73:私が好きなStray Kidsだと、バンチャンが英語を喋れるんですが、韓国語で喋った後に英語で喋って、英語で喋りだすと、韓国語でちゃんと通訳するんですよ。一人でずっと喋っているし、ファンの話をすごく拾ってくれるんです。だから、そういうのってすごく大事だなと。もちろんコンテンツありきだと思うので、コンテンツの充実だったり、中の人がいかに言語でコミュニケーションが取れるかも人気のポイントなのかも。

DJ泡沫:そうですね。BTSを見て分かるように、最低でも一人英語を話せるメンバーがいればなんとかなる。そう考えると、BLACKPINKとかはほとんどのメンバーが話せますね。そういう面でも有利かもしれないですね。

NICE73:各グループ、海外メンバーが増えてますよね。あと最近心配しているのが、NCTのショウタロウはじめ、日本の良い人材がどんどん海外に行っちゃっているんじゃないかなって。

DJ泡沫:それがそうとも言えなくて。例えば、クラシックバレエの『ローザンヌ国際バレエコンクール』は有名で登竜門ではあるんですが、コンクールに出る子たちは、才能が埋もれている子たちなんですよ。有能さを見抜かれた子たちはすでに、もっと若いうちに大手の事務所が目をつけて所属していることが多いので、逆に言えば、そういうところに入れなかった子たちの選択肢として、海外行きがある。だから優秀な人材が海外に行くというよりは、国内で生かし切れていない人たちと言えるんです。

NICE73:なるほど。私はたまに学校で歌を教えたりもしているんですけど、ほとんどの子が「海外でやりたいです」って。日本も素晴らしい音楽がたくさんあると思うし、音楽を聴く人、好きだって言って買う人もたくさんいると思う。でも、この環境が生かし切れていないと思うと残念というか。

DJ泡沫:それぞれ得意ジャンルというか、韓国ではイマイチだけど、日本ではすごく人気のあるコンテンツもありますから。ダンスやポップスにしても、ウケる曲調、ダンスの種類も変わってくるので、その子の得意なところが活かせるキャパがどれぐらいあるのかということで、このキャパに入れるか入れないか、という話なんですよ。NCTのショウタロウもあれだけ踊れてどこの事務所にも入っていなかったということは、テクニックはあるんだけど、国内では活かせる場が今のところ埋まってしまっていたんです、きっと。だから海外のメンバーもどんどん求めているようなK-POPの世界に行くのは正解かもしれないですね。

<後半へ続く>

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