宮野真守、津田健次郎、花江夏樹……お茶の間にも浸透した、2020年男性声優たちの活躍を振り返る
2020年はおうち時間が増えたこともあって、これまで以上に映画やアニメ、ドラマ、ゲームなどの映像やネットのコンテンツに触れる機会が増大した。それにともない、それらコンテンツに携わる声優の存在にも注目が集まった。声優業だけにとどまらないマルチな活躍も目立ち、声優という職業の可能性の大きさがお茶の間レベルで浸透したと言える。本稿では、今年目立った男性声優の活躍をトピックごとにまとめてみた。
お茶の間に広がる男性声優の活躍
今年1番のトピックは、やはり『鬼滅の刃』のヒットだろう。映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は次々と記録を塗り替え、コミックスはシリーズ累計1億2000万部を突破し社会現象となった。同作に出演する竈門禰豆子役の鬼頭明里を筆頭に、我妻善逸役の下野紘や竈門炭治郎の花江夏樹など声優陣は“鬼滅声優”として、様々なテレビ番組から引っ張りだことなった。例えば、下野紘は『逃走中』(フジテレビ系)に出演、花江夏樹は『情熱大陸』(MBSほか)に取り上げられるなど、様々なメディアが声優に目を向けた。声優たちの知られざる素顔に触れる機会に、これだけ恵まれた年はなかっただろう。
声優と言えばアニメ、というイメージが強いが、実写ドラマへの出演や情報番組のナレーションなど、アニメ以外のテレビ番組で声優の名前を目にする機会も増えた。宮野真守はドラマ『半沢直樹』(TBS系)に金融庁の古谷役で出演し、片岡愛之助が演じた上司の黒崎駿一とのシーンが話題となった。NHK連続テレビ小説『エール』のナレーションを務めた津田健次郎は、山崎育三郎演じる佐藤久志のマージャン仲間の犬井役で本編に出演。さらに、梶裕貴がドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)に山鹿眞一郎役で出演したことも話題になった。声優の中には舞台で活躍するなど演技経験者も多く、宮野もその一人だが、今年下半期の大ヒットコンテンツ『半沢直樹』に出演したインパクトは特に大きかった。そのほかにも、9月から朝の情報番組『あさチャン』(TBS系)のナレーションを内田雄馬が務めており、朝から耳が癒やされると評判になっている。
そして、今年に入ってから多くの声優がYouTubeにて公式チャンネルを開設、YouTuberの仲間入りを果たした。声優のYouTubeチャンネルと言えば、2年以上前からゲーム実況を配信している花江夏樹のチャンネルが有名だ。様々な声でキャラクターにアテレコしながら進める実況スタイルが人気で、登録者は185万人を超えている(12月24日時点)。今年開設された声優のYouTube公式チャンネルでは、杉田智和の『AGRSチャンネル』も人気だ。自身がキョン役で出演した『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」を全力で踊る動画が780万回以上の再生数を記録したほか、駄菓子を食べる回は子どものころの思い出話を交えた駄菓子解説が好評を得た。関智一の『セキトモランド』は、昔の懐かしいオモチャの紹介や、20年前に撮った自主映画の公開など実に個性的。ほかにも、小西克幸、石川界人、木村良平などゲーム実況が多いものの、プレイするゲームの選び方に個性が出ている。主にYouTubeで収入を得ているYouTuberとは違い、声優らの活躍はあくまでも自分の好きなこと、やりたいことを発信しているのが特徴で、セリフをしゃべるのとは違う生の声が聞けることや、時折飛び出す声優界の裏話なども人気だ。