ウルトラ寿司ふぁいやーが語る、グループのオリジナリティと2021年への展望 「広げた2020年に対して次は絞る」
「『ハッピージャムジャム』を全力でカバーしてみた」「全力!!90年代ジャンプアニメ最強メドレー」といった独自の切り口でのカバー動画がネット上でバズり、それがきっかけでラジオにフックアップされ、同時に徹底的にエンターテインメントを追求するライブパフォーマンスも話題となり、どんどん注目度を高めてきた7人組、ウルトラ寿司ふぁいやー。アカペラ出身者4人とバンド出身者3人という他にあまりない構成だからこそ生まれる幅の広さと新たな視点、そしてそれを支えるプレイヤビリティの高さが彼らのオリジナリティを生んでいることは、本サイトのコラムでも書いた。(参考)
それにしても、どうしてこんなユニークなバンド(名前も含めて)が生まれたのか。つくづく不思議だったのだが、このインタビューを読んでいただければ、その背景がうっすらとでも見えてくるはずだ。結成のエピソードから12月28 日に予定されている1年ぶりの有観客ワンマンライブに向けての意気込みまで、たっぷり語ってもらった。これがウルトラ寿司ふぁいやーだ!(小川智宏)
これは自分たちの方向性としてヒントかもしれない
ーー結成は2017年ということですが、見た感じもバラバラなメンツが、なぜ集まったのかっていうところから教えていただきたいんですけども。
Jぺい:最初は僕とドラムの翼、そしてギターの加部という3人だったんですよ。僕と翼は高校生のときに友達の紹介で知り合ってちょっとだけバンドやってたんです。その後もそれぞれに音楽を続けていて、翼はその活動の中で加部ちゃんと出会ったんです。
翼:そう、加部ちゃんとバンドをやっていて。それが解散してしばらくしてかな、最初はもう遊びのテンションで「なんか3人でやろうよ」みたいな感じで始まったのがこのバンドなんです。
加部輝(以下、加部):個人的に、前のバンドで自分のやりたいことを出しきれてなかったっていうのがあって、何かしらの続きは絶対やりたいなと思ってたんです。ただ、自分の中でその形が見えてなかったので、最初のうちはちょっとあやふやな感じだったんですけど、とりあえず集まりました。
Jぺい:翼のバンド、高校生のときすごかったんですよ。加部ちゃんはあとから入ったんですけど、その前からもうめちゃくちゃうまくて、『ストリートファイターズ』っていう、高校生バンドの特集番組にも出たりして。一緒にバンドやってたやつがそういうふうに活躍してるのを見て、僕は「バンド無理だな」って正直ちょっと思ったふしがあって。それでアカペラを始めたんです、大学でサークルに入って。そこで出会った同期がしょーりんとまじくん。で、同じサークルの三つ下の後輩がなめちゃんなんですけど。
翼:で、最初3人でやっていくうちに「やっぱりバンドをやるの楽しいね」ってなって、お互いの形成してきた人間関係の中から選りすぐってメンバーを集めて。で、僕の友達の紹介で「いいやついるぞ」となったのがーー。
Jぺい:ベースの尚也です。
尚也:はじめまして。
ーーなるほど(笑)。
Jぺい:だから彼だけそんなにゆかりがないんですよ(笑)。それでベースとドラムとギターが揃って、キーボードは必要だろうということで。
翼:うん、キーボードは探そうよって話はしてたんですけど、そのあとのまじくんとしょーりんに関しては、もうJぺいが「こいつらいたら絶対面白いから」っていう。
ーー音的にはもう、ピースは足りてるわけですからね。
Jぺい:そうなんですよ。だから、ボーカルが2人目のボーカルを連れて来たから、正直よくわかってなかったと思うんですけど(笑)。
しょーりん:俺は逆にバンド組んだの初めてだから、7人とか普通なんだって思ってた(笑)。
Jぺい:そういう感じで7人集まったってところからが始まりですね。
ーーこのバンド名はいつ誰が決めたんですか?
Jぺい:僕が結成して、わりとすぐに決めたんですけど。
翼:1時間ぐらいで決まりました(笑)。最初は遊びでカバーしてYouTubeに上げようという話があったので、ならバンド名が必要だろうっていうことで、最初はウルトラ……なんかすごい名前にしようかっていう……。
Jぺい:翼ごめん、それ言っちゃいけないんだよ。バンド名の秘話、言えないんですよ。実は約束がありまして(笑)。
ーーああ、そうなんですか(笑)。
Jぺい:去年『おれパラ(Original Entertainment Paradise)』っていう声優さんたちのライブイベントに出していただいたときに、鈴村健一さんが「彼ら、ウルトラ寿司ふぁいやー、なんでそういう名前だか知ってますか?」ってMCで言ってくださって。楽屋でその由来を話してたのでネタにして言ってくれるのかなと思ったら「知りたかったら、彼らを追いかけてあげてください」って。だったら、俺たちは鈴村さんのラジオに出るまでその由来を明らかにするのはやめようって決めて。なので今言えない状況なんです。
ーーなるほど。いずれにしてもインパクトのある名前ですよね。
翼:ただ、だいたい「ウルトラ」と「寿司」だけは覚えてもらえるんですけど、「ふぁいやー」が出てこないパターンがあって。
加部:確かに確かに。
まじくん:「ボンバー」とか「サンダー」とか(笑)。
ーーこれをきっかけに覚えてもらえればと思いますけど(笑)。これだけのメンバーが7人集まったときに、どういうことをやろうと思ったんですか?
まじくん:最初はもうセッションベースで、加部ちゃんが「こういうリフどうだ?」みたいな感じでおしゃれなリフ弾いたら、それに合わせてベースが乗ってドラムが乗って、適当に歌うみたいな。
しょーりん:そうそう。適当に歌って曲ができあがる。
Jぺい:あれを曲っていうのかわかんないけどね。でも意外とパワーあって、いまだにメインで歌ってる「全てはエンターテインメント」って曲と「幸せになれ」っていうバラードはそこで出た曲なんですよね。でもまだ方向性というものが定まってなかったんです。それで、オリジナルを作りだして1年後ぐらいに「T.C.K.C.」と「WAGAMAMA BANANA」っていう曲ができて、そこで自分たちの中でも、「これは自分たちの方向性としてヒントかもしれない」みたいなところをつかんだんですよね。「T.C.K.C.」のちょっとコミカルな感じと「WAGAMAMA BANANA」のポップでファンキーな感じがひとつのヒントになったっていうか。今もそこをベースに、また手探りでやっていって『What we 貫』に至っているという。
ーーオリジナルと同時にカバー動画もやってきたじゃないですか。あれはどういうきっかけで始めたんですか?
しょーりん:知られるためですよね。自分たちでオリジナルを作ってても、知られなきゃ意味ないなと思って。皆さんが知ってるような曲で、たとえば『金曜ロードショー』に合わせて映画の音楽をやってみようとか。誰かが見つけてくれるタイミングを狙って作ってました。
Jぺい:もともとアカペラをやってた人間が4人いて、アカペラはカバーの表現方法の一つなので、カバー自体に抵抗がなく、それを込みでエンターテインメントをライブで作っていくっていうことにすごく慣れていたので、自然な流れだったような気はしてますね。
ーーそれで一番最初に手応えを感じたのっていつですか?
Jぺい:最初の手応えで言うと本当に最初の「ぼくドラえもん」とかのあたり。道筋はある程度そこで見ることができましたね。
加部:でも最初にばっと伸びたのは「コンクリートロード/耳をすませば」じゃない?
翼:でも、その後一時期、なかなかそれ以上にはいかなかったんですよ。それが急にはねたのが「ハッピー・ジャムジャム」のカバー。
しょーりん:YouTubeのおすすめとしてよく表示されていたみたいで。
Jぺい:作曲した方(樫原伸彦)がコメントしてくれて「原曲超えるのやめてください!」って。すごく嬉しい。あれは、本当にいいチューンですよね。
まじくん:「いいチューン」?(笑)
しょーりん:なんなん、その言い方。
ーーカバーをやっている経験が、オリジナルにも影響しているところはありますか?
加部:脳的には別ですね。カバーと曲を作るときの脳みそは。
Jぺい:でも見られ方的にというか、やっぱり自分たちの本質がある程度コミカルなところにはあると思うので。オリジナルにも、それは意図としてじゃないですけど、共通して出てるかなとは思います。