ウルトラ寿司ふぁいやーが語る、グループのオリジナリティと2021年への展望 「広げた2020年に対して次は絞る」
いろんなトライをして自分たちの中で試してみたかった
ーーそのコミカルさっていうのはウルトラ寿司ふぁいやーの大きな武器だと思うんですけど。でも、みなさんスキルはあるわけじゃないですか。真面目な方向に行こうと思えばいくらでも行けたと思うんですが、そのなかでちゃんと面白い要素も入れていこうよってなったのは、自然な成り行きだったんですか?
Jぺい:でも、個人的に今までやってきた音楽活動の中で、音楽をただ真面目にやったことがなかったんですよ。っていうのはやっぱりそっちの方が向いてたんで。それである程度手応えを掴んできたっていうのがあったので、自分がバンドをやる上で、ただ真面目にやるって選択肢が一切なかったっていうのは正直あります。
加部:逆に対になることを言うと、自分は今まで音楽に対して真剣に向き合いすぎてたっていうか、とにかく曲が良くてかっこよければ成功すると思ってたんですよ。そういうバンドを作ってはやめて作ってはやめてって繰り返して、これどうすればいいんだろうなと思ってて。そんなときに、Jぺいの才能に出会って「これだ」って思ったんですよ。そのときにかっこつけるのをやめました。かっこよければ売れるっていうのを捨てて、楽しさ優先でいこうってその時に思いました。ある種逆なようで、目指してるところは一緒というか。
ーー今の加部さんの話はすごく重要だと思うんです。やっぱりバンドやっているとかっこつけたくなるじゃないですか。
加部:今でもかっこつけてはいるんですけど、ちょっと方向が違いますね。それがもう笑いになるぐらいまでかっこつけるっていう。かっこつけすぎやろってそこまで俺は行きたいです。
ーーそのバランスがすごくいいんでしょうね。面白いことやろうぜ、だけでスキルがついてこなかったら成立しないし、その逆だけだと広がらないし。
Jぺい:めちゃいいバランスだと思いますね、それは。僕はどっちかっていうと音楽をおろそかにしちゃうタイプだったので。
ーーははははは!
しょーりん:ボーカルだろ、てめえ!
Jぺい:「Google翻訳で歌ってみた」ってシリーズあるじゃないですか。面白いと思うんですけど、俺だったらたぶん適当にやって、できてない感じで笑わしちゃうと思うんです。でもこいつ(しょーりん)はめちゃくちゃストイックで、言葉がリズムにはまってないとダメだみたいな感じでやるんですよ。そんなんいいじゃんって俺は思うんですけど(笑)、でもそれが大事なんですよ。
尚也:真面目にバンドだけやってる人間には絶対にこっち(Jぺい)のエッセンスは見つからないし、普通こっちの路線でやってる人間は、まっすぐバンドやろうっていうふうにならないから。
Jぺい:出会わないんだよ。それが本当にすごい奇跡だなって。
加部:初めて出会った人種だもんね。
尚也:バンドごりごりやってる人間にはなかなかいない。
ーーそして、bayfmの番組『森久保祥太郎と浜口順子のThe BAYLINE』で紹介されて注目されるようになったわけですが。
Jぺい:2018年末にちょっと道筋を見えた感じのところで、2019年の2月にラジオでかけていただいて。うっすら見えてきた自信が確信になってきたというか「これは間違ってないんだな」って。
翼:松坂(大輔)だ。
加部:松坂が言ったのよ、「自信が確信に変わりました」って。でもその翌年ダメだったから(笑)。
Jぺい:(笑)。でも本当そんな感じで、これでいいんだって感じられたって意味で、すごくすごく嬉しかったですね。森久保祥太郎さんは、声優も音楽もやっていて、ライブをやる上でめちゃくちゃエンターテインメントを大事にしてる人で。そういうテイストのバンドを昔やってたりとか、自分で劇団を主宰してたりとかっていうのがあったから、ある種必然的な流れで好みにはまったっていうのはすごく感じました。なめちゃんはどうでした? まだ一言もしゃべってない(笑)。
なめちゃん:僕……すごく嬉しかったです。
尚也:bayfmで流してもらわなきゃ、アミューズにも発見してもらえなかったからね。
ーーそんななかで出した1stアルバム『In鮪ダクション』については、今にして思うと、どういうふうに振りかえりますか。
まじくん:結構あれは初期衝動というか、バンドが集まって、それほど戦略的にではなく、いい曲を作ろうっていう衝動で作ったっていう印象が強いんですよね。
ーー10月にリリースした2ndの『Wha we 貫』と較べると、感触が違うなって。
まじくん:今回は作曲段階からどういうCDにするのかっていうのをかなり話し合いましたね。サウンド面だったりとかアレンジ面も構成も含めてですけど、結構詰めた上でアルバム制作に進みました。だからどちらかというと結構狙いが強いのは『What we 貫』かもしれない。
しょーりん:でもジャンルはバラバラよね。
Jぺい:2020年はいろんなことをやって幅を広げてみようっていうことが1年間を通してのテーマだったので、その最後に作るアルバムで、より自分たちの方向性を強固に見せていくためにも、いろんなトライをして自分たちの中で試してみたかったところではありました。
翼:大まかに分けると、今までやってたことが3割ぐらいで、今までやってなかったアレンジも含めてチャレンジ的なものが7割ぐらいっていう結果になってたかなって。
尚也:サウンド面の戦略、どんなサウンドにするのかというイメージは明らかに『What we 貫』の方が強いですよね。前のーー何だっけ、『What we 貫』の前。
Jぺい:『In鮪ダクション』!
しょーりん:忘れるなよ!(笑)
尚也:その経験を得て作ったからいろいろ余裕があった。すごい駆け足で作ったのが『In鮪ダクション』だったから。その経験と、今できることを100%出せたかなっていうのが『What we 貫』ですね。
ーーかと思いきや、今年はコロナ禍でライブもなかなかできないという状況になってしまって。ライブを強みにしていたみなさんにとっては、そこはストレスでしたよね。
Jぺい:やっぱり徐々にお客さんが増えて、会場が広がっていってることがある種モチベーションだったので、それが見えない中で動画のリアクションだけをもとにやっていくっていうのが……。僕たちはやっぱりライブが武器のバンドなので、それができない状況はすごく歯がゆかったです。ただその中でもポジティブに捉えられるのは、配信ライブでもかなりのポテンシャルを発揮できたというか、そこで楽しんでもらうっていう術を身につけられたということですね。
加部:確かに自信あるよね。
翼:でも、「生のライブ、うちのバンドのやつらこんなレベルじゃないよ」っていうのはすごく思います。特にボーカル2人は「ライブで観たらすごいから来て」って思います。
ーー12月28日に、ついに渋谷クラブクアトロでお客さんを入れてのワンマンライブがあります。どんなライブになるんですかね? 新作も出したし、やれること、やりたいことはめちゃめちゃ増えているわけで。
Jぺい:そうなんです、そこが大変で。今リハしてますけど、やりたい曲を試しに並べてみたら27曲になっちゃって(笑)。全部やったら、たぶんMCで1時間ぐらい喋りたくなるので、計4時間は覚悟しなきゃいけない(笑)。2時間か2時間半ぐらいにしたいなと思ってはいるので、結構削減しないとね。
ーーなめちゃん、どうですか、クアトロに向けて。
なめちゃん: Jぺいさんって、アカペラだった時代にビジュアル系アカペラをやってたんですよ。
Jぺい:ビジュアル系グループをね。
なめちゃん:そう。僕も最初は「Jぺいさん音外してるな」みたいな目でしか見てなかったんですけど、ライブに行くたびになんか面白いなって思うようになってーー。
しょーりん:音外してるのがおもしろいってこと?(笑)
なめちゃん:それもあるけど(笑)。毎回新しいことをやってくるっていうか、ライブ中にカラオケをやり始めたりとか、全く想像しないことをやっていて。そういうのが面白かったな。だからそういう要素も寿司で出せたらいいなって思ってて。クアトロでもまた新しいことができたらいいなって思ってます。
全員:(拍手)
ーーいい話でしたが、音を外してたって言う必要なかったなと(笑)。
Jぺい:確かに! ネガキャンだ(笑)。
ーーわかりました。最後に、この2020年を経て、2021年はどういうふうに進んでいきたいですか?
Jぺい:あくまで僕の思いですけど、やりたいことを広げた2020年に対して、次は絞るかなと思うんですよね。濃縮還元じゃないですけど、やっぱり一人一人の人に対してアピールできるチャンス、時間って短いと思うので、どの一面から見てもらうのがいちばん僕たちのことをぐっと好きになってもらえるのかってところを選ばなきゃいけないかなって。どうですか、しょーりんさん。
しょーりん:俺はみんな、本当にやりたいものをやった方がいいんじゃないかなって。バズろうとか、今こういうのが流行ってるとかじゃなくて、寿司っぽい感じってどういうことなんだろうっていうのをもう1回ちゃんと話し合いたいなって。いろいろ広げてみて「あ、なるほど」って思ったこともあったので、そこからまたこれで俺たちがやりたいのはこれだって思ってやりたいですよね。
ーーああ、でもJぺいさんと同じですよね、方向は。
Jぺい:そうですね、今年いろいろ広げた中で、自分たちらしいピックアップをしてってことだよね。
加部:あとは、もうこれに尽きると思うんですけど、ホームラン級の1曲を作りたい。絶対それです。やっぱりバンドは最終的にエンターテインメントを通り越した先に曲なので。自分らが死んだ後でも語り継がれるような曲。作ります。自分の来年の使命はそれだなと思ってます。
■リリース情報
『What we 貫』
発売:2020年10月28日(水)
価格:3,000円(税込)
<収録曲>
01,Prologue78〜What we 貫〜
02,HANPAFUL DAYS
03,テクマクマジック
04,めっちゃええ歌詞・・・CBCラジオ11月度マンプレ
05,KIRIDANCE・・・FM福岡11月度パワープレイ
06,ワーカホリックバカリーマン
07,いい加減にシエスタ
08,ガチガチに降り積もったWinterLove
09,THE OUTSIDER
10,マイホームタウン
11,幸せになれ(Live ver.)
※各DLサイトで配信されるアルバムには、M1,5,7,11は収録されません
<各配信サイトURL>
Apple music
Spotify
LINE MUSIC
Amazon music
iTunes
レコチョク
■ライブ情報
『ウルトラ寿司ふぁいやーワンマンライブ「復活!廻らない極寿司炎 本店 -トロは鮪でもクア鮪なのよ-」』
日程:2020年12月28日(月)
時間:開場 18:15 / 開演 19:00
会場:東京・渋谷CLUB QUATTRO
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