ヒプノシスマイクはアニメを通して次なるフェーズへーーOP曲やバトルシーンから伝わる、コンテンツの新たな可能性を考察

 音楽面での充実も凄まじい。本編中で毎回新曲が披露されるというのは、音楽モノのアニメ作品としても驚異的なボリュームと言えるだろう。また、2話の「俺が一郎」や7話の「Shinjuku Style〜笑わすな〜」のように既存曲も効果的に使うことで、元来のファンの心も掴んで離さない。

ヒプノシスマイク 麻天狼「Shinjuku Style~笑わすな~」

 バトルシーンにおいては、「ヒプノシスマイクを使って繰り出されるリリックは、人の交感神経・副交感神経に作用し様々な状態にすることができる」という設定の可視化が、最大の注目ポイントだ。秀逸なラップに合わせて次々に繰り出される大胆で奇抜なビジュアルイメージ、こちらにまで伝染してくるような熱い闘志、クスッと笑える演出、胸が苦しくなる描写……あらゆる感情が激しく揺り動かされ、まさに精神に深く干渉してくるのである。

 これらの要素に加え、絵の美しさ、声優陣の熱演も相まって、ニコニコ動画のコメントやTwitterのハッシュタグなど、アニメを視聴しながらリアルタイムで興奮を共有する楽しみもある。あらゆる面で、“熱い”作品なのだ。

 アニメという武器を増やした『ヒプノシスマイク』というコンテンツの力や、ファンの熱量はとどまるところを知らない。アニメなどのメディアミックス展開、音楽性のさらなる発展、まだ深掘りできそうなキャラたちの魅力や秘密、物語の行先……と気になるところはまだまだある。2021年1月にはアニメ楽曲を全て収録したアルバムの発売、続いてライブイベントの開催など新たな展開も多く予定されている。アニメ放送でさらに上昇した熱量とともに、この作品がどのようなフェーズに移行するのかーー今後も目が離せない。

■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中
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