リュックと添い寝ごはん『neo neo』連載 第3弾 〜堂免英敬編〜
リュックと添い寝ごはん『neo neo』連載 第3弾 ~堂免英敬編~ 快晴の二子玉川公園をお散歩&アルバムへの手応えも語る
3人組バンド、リュックと添い寝ごはんが12月9日に1stアルバム『neo neo』をリリースし、晴れてメジャーデビューした。そこでリアルサウンドでは、アルバムに収録される中からメンバーが1曲ずつ選び、その楽曲にちなんだ場所におでかけしながら、曲のこと、バンドのこと、貴重な思い出話まで語り合っていく連載企画をスタート。今年3月に高校を卒業したばかり、10代のフレッシュな3人の素顔をたっぷりお届けしていく。第3回目は、堂免英敬(Ba)が登場する。
堂免とやってきたのは世田谷区立二子玉川公園。アルバムの最後を飾る名曲「ほたるのうた」のイメージから選んでもらった場所だ。「夜だと人がいなくていいんですよ。ひとりで5分くらいぼーっと座って、公園を一周して帰るんです。むちゃくちゃ疲れているときとかに、散歩したくなるんですよね」。
二子玉川駅から5分ほど歩いてたどり着いた公園は、川沿いの風が気持ちいい場所。遊具が並ぶ子どもエリアから、大きな階段を登って土手の上へ行くと、眼前に多摩川と広い青空が広がる。この日は雲ひとつない見事な秋晴れ、絶好の散歩日和だ。歩きながら音楽もよく聴いていたそうで、音楽を聴く時間をつくるためにわざと電車を降りてこの公園にやってきたこともあったという。
ダンスミュージックなど「夜に合う感じの」曲を聴くことが多かったというが、そのなかでも印象に残っているものを挙げてもらうと、「ENJOY MUSIC CLUBさんの『ENJOY OPENING』っていう曲があって(アルバム『FOREVER』収録)。めちゃくちゃお気楽な曲なんですけど、公園を歩きながら聴いて衝撃を受けたのを覚えています」との答えが返ってきた。夜の公園とENJOY MUSIC CLUB。ミスマッチなようで、意外と合いそう。バンドからは離れて、ひとりの時間を過ごす場所。堂免にとってこの公園はそういうところだったのかもしれない。普段は夜ばかりだったそうで、「昼間来ると、こんなに広かったんだって思います」と驚いている。
川に面した階段には「夜になるとすごくムーディーで、カップルがずらっと並んでるんですよ」と悔しそうに話す堂免。「切なくなるんです、ひとりでいると(笑)」というところは、いかにも男子学生らしい。でも、「ほたるのうた」もどちらかといえばひとりで深く深く考えるような曲なので、その意味でもこの場所とは合っているのかもしれない。「夜になると特に、街の明かりがすごくリンクしてるように思えるんです、『ほたるのうた』と」。アルバムの最後を飾る「ほたるのうた」は、『neo neo』のなかでも特別な1曲だ。優しいメロディ、そして松本ユウ(Vo/Gt)が今までにないほど強い思いを込めて書いた歌詞。そんな大事な曲を噛みしめるように、堂免は語ってくれた。
公園を出たあとは、川沿いをゆったりと散歩。遠くに鉄橋を渡る田園都市線が見える。「ああ、いいですねえ」。リュックと添い寝ごはんの楽曲にある、どこか牧歌的で楽観主義的な世界観と、この多摩川沿いののんびりした雰囲気はベストマッチだ。川原には秋らしくススキが揺れている。好きな季節について聞くと「夏よりも秋とか冬のほうが好きですね。服も冬服のほうが好きだし、暑いと外に出る気もなくなっちゃう」と堂免。どこまでも自然体である......と思ったら、あまりの気持ちのよさからか、いきなり駆け出す10代の元気さには驚かされるばかりである。