リュックと添い寝ごはん『neo neo』連載 第1弾 〜松本ユウ編〜
リュックと添い寝ごはん『neo neo』連載 第1弾 ~松本ユウ編~ 高円寺で初のレコードジャケ買い&懐かしの駄菓子に大興奮
3人組バンド、リュックと添い寝ごはんが12月9日に1stアルバム『neo neo』をリリースし、晴れてメジャーデビューする。そこでリアルサウンドでは、アルバムに収録される中からメンバーが1曲ずつ選び、その楽曲にちなんだ場所におでかけしながら、曲のこと、バンドのこと、貴重な思い出話まで語り合っていく連載企画をスタート。今年3月に高校を卒業したばかり、10代のフレッシュな3人の素顔をたっぷりお届けしていく。第1回目は松本ユウ(Vo/Gt)が登場。高円寺をお散歩する。
松本が選んだ楽曲は、先行配信もされた「あたらしい朝」だ。不安や悲しさは消えないけれど、雨上がりの空と新たに始まった今日に希望を描いていこうよ、という気持ちをまっすぐ歌ったポップチューン。アルバムの中でひときわ明るさを感じさせるそんな曲の主人公を、松本は「高円寺にいそうな女の子」のイメージで書いたという(ミュージックビデオも高円寺で撮影している)。というわけで彼とは高円寺駅の改札口で待ち合わせである。
聞くと、松本にとって高円寺は、中学生の頃から通っている馴染みの街だそう。古着好きの彼らしく、ひとりでミリタリー系の古着を扱うショップを巡ってはお気に入りを探しているのだとか。でも今回はあえて古着屋ではなく、音楽の街でもある高円寺らしくレコード屋へ。最近レコードプレーヤーをゲットしたものの、自分でレコードを買ったことはないそうで、インスピレーションでジャケ買いをしてもらおうという魂胆だ。
線路沿いの路地を歩いてまず向かったのは、高円寺が誇るマニアックなレコード店「黒猫」。「円盤」という前の店名のほうが有名かもしれない。日本の歌謡曲のシングルレコードから洋楽の大定番、インディーズで活動するアーティストの自主制作カセットテープからさまざまなZINEまで、ディープでカオティックなこの店で人生初のレコードを選ぶ……というのはなかなか難しそうだが、松本は店に入った瞬間からワクワクした表情を浮かべてレコード箱を漁り始める。
ストリーミングサービスで月ごとにプレイリストを作ってメンバー同士でも交換したりしているという彼ら。松本の11月のプレイリストを見せてもらうと、プププランドからチャック・ベリーまで多彩なアーティストと楽曲が並んでいる。バラバラだけど、こうして並ぶとなんだかリュックと添い寝ごはんっぽいのが面白い。「CD屋さんにはあまり行かないですね。音楽はサブスクで聴くことがほとんどです。親から教えてもらったりもします」という言葉通り、時代もジャンルも超えた選球眼が、雑食的で、でもポップなリュクソの音楽の源なのだろう。
「あ、これ聴いたことある」と手にとったのはAztec Camera。さらにマイケル・ジャクソン、井上陽水……と大名盤を集めたコーナーからマニアック盤まで、くまなく棚を漁りつつ、「出会いの1枚」を探す松本。隣のお客さんが慣れた手付きでレコードを掘っているのを横目に「ああいうふうにできるようになりたいんですよね……」と言いつつ、彼が最終的に選んだ2枚は、80年代に「Relax」でヒットを飛ばしたイギリスのバンド、Frankie Goes To Hollywoodの1stアルバム『Welcome To The Pleasuredome』(1984年)と、アメリカの俳優・コメディアンであるマーティン・マルのアルバム『Days Of Wine And Neuroses』(1975年)。まったく違うジャンルの2枚をセレクトするのが彼らしい。