森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.225

Mr.Children、King Gnu……バンドの表現方法を拡大させた作品 新譜からピックアップ

ザ・クロマニヨンズ『MUD SHAKES』

 2006年の結成以来、ほぼ1年に1枚のペースでアルバムを発表し続けてきたザ・クロマニヨンズ、コロナ禍の2020年も“当たり前だろ、それしかやることないんだから”と言わんばかりにニューアルバム『MUD SHAKES』を生み出した。いつものように真島昌利と甲本ヒロトの曲が半分ずつ、ロックンロール、ブルースを中心とした濃密なルーツミュージックを血肉化して放ちまくるバンドサウンドもいつも通りだが、世界のすべてが一変したからこそ、この普遍ぶりがより一層愛おしく、貴重に思える。〈自由は最高〉と連呼する「VIVA! 自由!!」(作詞・作曲:真島昌利)、〈ロックンロールにさらわれる〉というラインが突き刺さる「暴動チャイル(BO CHILE)」(作詞・作曲:甲本ヒロト)の冒頭2曲で完全にノックアウト。人生をかけて夢中になれるものがあれば、人は必ず自由になれる。そのことをザ・クロマニヨンズは全身で体現している。

ザ・クロマニヨンズ 『暴動チャイル(BO CHILE)』
ストレイテナー『Applause』

 音楽的なトライアルと確固たるオリジナリティを共存させたストレイテナーの11thアルバム『Applause』。 心地よい浮遊感と壮大なスケールを併せ持ったサウンドが印象的な 「Graffiti」、 シャープに研ぎ澄まされたバンドグルーヴ、 軽やかな解放感をたえたメロディを軸にした「叫ぶ星」、 繊細なストリングスと重厚なリズムセクションが絡み合う「さよならだけがおしえてくれた」など、楽曲ごとに表情を変え、 新たな意匠を取り入れながら、 ストレイテナーらしさを決して失うことがない楽曲が並んでいる。 2020年の現実をリアルに反映すると同時に、すべての鬱屈を吹き飛ばすようなパワーを描き出すホリエアツシのソングライティングも絶品。同時代性と普遍的な魅力が一つになった、新たな名作の誕生だ。

ストレイテナー/New Album「Applause」/全曲ダイジェスト映像

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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