和楽器バンド『TOKYO SINGING』完全再現ライブに込めた未来への願い ファンと心を一つにしたツアー初日公演レポ

 前作『オトノエ』からおよそ2年半ぶりとなるオリジナルアルバム『TOKYO SINGING』を今年10月にリリースしたばかりの和楽器バンドが、それを携えての東名阪アリーナツアー『和楽器バンド Japan Tour 2020 TOKYO SINGING』を10月24日、東京ガーデンシアターよりスタートした。事前にもアナウンスされていた通り本公演は、アルバム『TOKYO SINGING』の全曲を曲順どおりにパフォーマンスする「アルバム全曲再現ライブ」。アンコール含め、全20曲をおよそ2時間にわたって披露した。

鈴華ゆう子(写真=KEIKO TANABE)

 オープニングムービーが終わって幕が上がると、ステージ前段には下手から亜沙(Ba)、神永大輔(尺八)、鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gt/Vo)、蜷川べに(津軽三味線)が、後段には黒流(和太鼓)、いぶくろ聖志(箏)、山葵(Dr)が横一列に並んでおり、まずは『TOKYO SINGING』の冒頭を飾る「Calling」を披露。地鳴りのように鳴り響く和太鼓&ドラムのコンビネーションと、その上でグルーヴするベース、ヘヴィかつソリッドなエレキギターとは対照的な、筝と津軽三味線の煌びやかな音色が混じり合う。さらには鈴華の力強くも包み込むようなボーカルと、悠久の時をたゆたうような尺八が重なり、唯一無二のサウンドスケープを展開していく。

 バックスクリーンにはメンバーの姿とともに東京の街並みが映し出され、〈君に届けたい思いが、届けたい言葉が、届けたい歌がここにあるんだ〉と客席に向け訴えかけるように歌う鈴華。新型コロナウイルスの感染予防対策のため、オーディエンスは公演中もマスク着用が義務付けられ、タオル回しや歓声も禁止という今までとは全く異なる環境下でのライブ鑑賞となったが、そんな中でもパープルに光るペンライトを大きく振り回しながら、彼らの熱演に出来る範囲で応えていた。

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