森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.221
Da-iCE、ビッケブランカ VS 岡崎体育……メンバー/アーティスト同士の創造性に溢れたケミストリー 新譜からピックアップ
高評価を得た2ndフルアルバム『オリオンブルー』を経て、新たなフェーズの始まりを告げる両A面シングル『Break / 振り子』。藤井風、iriなどの楽曲を手がけるYaffleが編曲を担当した「Break」(TVアニメ『半妖の夜叉姫』/日本テレビ系 EDテーマ)は、ドープなエレクトロトラックと憂いを帯びた旋律、“ありのまま生きていく強さ”を得ようとする姿を映し出す歌詞が一つになったダンスチューン。小栗旬、星野源のW主演による映画『罪の声』の主題歌として制作された「振り子」は、振り子のように、絶望から希望へ向かうことを切望するピアノバラード。さらにwacciの「別の人の彼女になったよ」のカバー、「あなたがいることで」でのセルフカバーを収録。力強い意思、繊細な表現、聴く者を包み込むようなスケール感を共存させたボーカルは、やはり唯一無二だ。
『追憶の光』(2019年11月)以来、約1年ぶりのニューシングル『ゼロ ユニバース』は、山本彩自身が作詞・作曲を手がけた3曲を収録。“描いた理想と違っていても、振出しに戻ったとしても、ここから始めればいい”という思いをストレートに描いたミディアムチューン「ゼロ ユニバース」、90年代UKロック的なサウンドとともに、“一人でも生きていける”という女性の決意を綴った「愛なんていらない」、そして、高速のビートと歪んだギター、“逆風を蹴散らして、ゴールまで突き進め!”と自らを鼓舞する歌詞がぶつかり合うアッパー系ロックチューン「against」。自らのリアルな感情を幅広い層のリスナーに訴求できるポップナンバーにつなげるセンスはここにきてさらに向上している。凄腕ミュージシャンたちとの化学反応も本作の魅力だ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。