Kis-My-Ft2 千賀健永とSexy Zone 中島健人のコラボが実現 「Sen茶」に溢れる“二人のケント”のクリエイティビティ

作詞・中島健人、作曲・千賀健永により生まれた“恋の歌”

 今回webで披露された楽曲は、作詞・中島健人、作曲・千賀健永。自ら別れを告げたはずなのに、心にはぽっかり穴が空いたまま……そんな恋の歌だ。

 今の時代だからこそ書ける歌詞の秀逸さに、まず驚く。歌にして残すべき単語が散りばめられている。時代が平成なら、ポケットベル、鳴らないケータイ、留守電のメッセージ。昭和なら、駅の伝言板、舞い戻った手紙……といったところだろうか。

 令和ならではの恋愛のツールを歌詞に反映し、過去になってゆく時間の比喩にもまた、流行をうまく取り込んでいる。26歳の中島が描くからこそ、ほんの少しの幼さや、恋への熱も感じられる。

 中島が描く歌詞は、情景を思い浮かべられるほど具体的なのに、生々しさがない。きちんとリアルでありながら「こういう恋もあるよね」と、共感できるフィクションだ。まさに「物語」を描く人、その才がある人だと、彼の過去作品を通しても感じる。

 そしてピアノが自由に歌うこの曲、千賀の作品らしいと感じた。彼は自作曲のリリースこそないのだが、先述した「道しるべ」の制作ドキュメントに、キーボードとパソコンを使って作曲を行う千賀の様子が記録されている。彼はまずいくつかのインストを「楽曲」として提示。いずれも、ピアノの旋律が映えるバラードだった。

 言葉数が多いと難解な楽曲になりがちなのだが、頭にサビをもってくることでリスナーの耳を馴染ませ、うまく世界観に放り込む。また、サビに高音のファルセットを入れることで、印象深いキメのパートが作られている。

 ピアノの音階、和音のスタッカートは心地良い「刻み」を作り、ドラマティックな響きとなる。バラードだけれど、跳ねるようなイメージ、雨音のような印象を受けた人も多いのではないだろうか。

 ピアノメインのバラードが、気付かぬうちに壮大に展開していくこの曲。最後はピアノの音、それも不協和音で終わる。それがなんとも切なく、やりきれない想いを残す。大事なものをなくした今を、ひとりぼっちを実感するかのように。

 さらに驚くべきはふたりの声の調和だ。ファンがかろうじて聴き分けられるレベルではないだろうか。互いに寄せ合っているようにも感じられ、ユニゾンはもはや1本に聴こえる。そこからハーモニーへと枝分かれする部分は鳥肌が立つほど美しく、聴きどころだ。

 千賀といえば、Kis-My-Ft2の最新曲「ENDLESS SUMMER」にて大サビ前のフェイクを担当。深みのある甘い歌声にはファンも多く、グループにおける歌唱力の一端を担う存在だ。

 中島の強みはキーの広さと演じる歌声。技術を使うことも抑えることもできるため、表現できる楽曲の幅が広い。また、楽曲によって自在に声の表情を変えてみせる感性を持つ。

 ふたりの声と表現力は楽器のごとく作用し、楽曲、歌詞が持つメッセージを高めている。

 Johnny’s webで、フルサイズの自作曲を聴くことができる時代がきた。それも、グループもレーベルも飛び越えたコラボレーションだ。ファンへの愛情とサービス精神、エンターテインメントの可能性を感じる。クリエイティビティに溢れた「Sen茶」。隠れていてはいけない希望が、ここにある。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。
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