日向坂46 加藤史帆&齊藤京子、同じ方向に向かって手を取り合う“としきょん”コンビ グループを牽引する二人の功績
そんなけやき坂46時代、加藤は「ハッピーオーラ」で、齊藤は「それでも歩いてる」「NO WAR in the future」でセンターポジションを経験した。歌唱力も表現力もグループの中でトップクラスを誇る。当然、アイドルとしてデビューしたからには“人より目立ってなんぼ”という考え方もあるだろう。しかし、「坂道合同新規メンバー募集オーディション開催」のアナウンスがあった頃、加藤はスタッフに対して「私、次の曲は2期生がセンターでもいいと思っているんです。だってかわいい子が真ん中にいたほうががいいじゃないですか。私は後ろからその子を支えてあげたいなって思います」と本心を打ち明けたという。その言葉でスタッフの考え方が変わったかまではわからないが、日向坂46改名後、全てのシングル表題曲でセンターを務めたのは2期生の小坂菜緒だった。
齊藤も早い段階で小坂がグループのセンターを務めることに対して好感触を感じていたという。日向坂46としての初ライブ(『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』)が、2019年3月に神奈川・横浜アリーナで開催されたが、「キュン」を披露する直前に齊藤は小坂の背中を“ポンポン”と叩いたという。これにはセンターとして絶大な信頼を寄せている小坂に対し、「センター、これからよろしくね。ついていくよ」という意味合いが込められていたのだ。
自分がどう見られるのかを一番に考えるのではなく、加藤と齊藤の心の中には一貫して「日向坂46を大きなグループにしたい」という思いがあるように感じる。似ているようで、似ていない2人。喋るとふにゃふにゃな加藤に対し、低音ボイスの齊藤。しかし、しっかりと同じ方向に向かって手を取り合いながら着実に歩みを進めているように見える。1stアルバム『ひなたざか』のリード曲「アザトカワイイ」では、これまでシングル表題曲でセンターを挟んだシンメの関係だった2人が隣に並んだ。より近い位置でタッグを組んだ“としきょん”コンビ。これからもグループをけん引する存在として、大きな活躍をしてくれることだろう。
■中山洋平
1983年生まれ。フリーランスの編集・ライター。ボウリング、洋服、ギター、サウナ好き。Twitter