Newspeak、ライブで確認した音楽を通して信じられるもの ネクストフェーズも示した代官山UNIT公演

 新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、多くのアーティスト/バンドが曲をリリースしたり配信ライブ/イベントなどを開催したりするなか、Newspeakは「自分たちにできることを」という宣言のもと、6月から4カ月連続でシングル「Pyramid Shakes」、「Another Clone」、「Parachute Flare」、「Blinding Lights」をリリースし、その4曲に「Complexity & Simplicity of Humanity」を加え、EP『Complexity & Simplicity of Humanity (and That’s Okay)』としてまとめ上げた。その真意について、先だって公開した本誌のインタビューで深堀りしたところ、彼らはウイルスが引き起こした世界の情勢や人々の衝突などにつついて言及したと捉えられる節は納得しながらも、単位としてはもっとも小さい「身近な人たちに何かしたい」(Rei)という想いが今まで以上に強い作品だと話してくれた。

 そして、彼らは同インタビュー上で、「やっぱり身近な人に「大丈夫だよ」って言われるのがいちばん効くと思うんです」(Rei)、「誰かがそばにいるんだって感じられたら、少し心が軽くなるじゃないですか」(Yohey)、「近くの仲間たちに楽しく幸せに暮らしてほしいって伝えるためにも、政治や思想について学ぶことは必要だと思う」(Steven)と続けた。確かに、Newspeakの音楽には、自分自身や目の前で起こっていることに対して湧き上がる感情がエネルギーとなり、無数の色を持つ光が扇形状に広がって世界にまで届くような、人間の根源的な魅力がある。そんなNewspeakにとってライブとは何なのか。Yoheyは「ライブに来てくれるお客さんも身近な人」、「ライブ会場って、みんなの待ち合わせ場所みたいなもの」と話し、Stevenは緊急事態宣言および自粛期間中とにかくバスキングがしたくてたまらなかったと感情をあらわにした。

 そして迎えた、8カ月以上ぶりのワンマンライブは、前回のワンマンがキャパ700人以上の渋谷CLUB QUATTROだったことに対して、新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みた50人というレアなチケットをゲットし、会場の代官山UNITに集まった観客と配信での開催。ステージ中のMCでReiは「ライブがなくてもいいかなって(いい曲さえ作れば満足できるというこれまでの自己分析)。でも、ライブがなければ音楽ができないということがわかった」と正直な気持を語ったように、メンバーにとっても観客にとっても未知のスタイルを、逆境だと感じさせないエモーショナルな光景が繰り広げられた。

 まず配信画面はステージ裏から。円陣を組んだ後、ReiとYoheyとStevenに加え、現在活動を休止しているギタリストのRyoyaに代わって、サポートギターの澤竜次がそれぞれの位置につく。1曲目は「July」。Stevenのシンバル2発を狼煙に、3発目からキックが加わり憂いを祝祭へと導くような鍵盤とメロディが折り重なる。

 自由で力強いドラミングとシルキーなコーラスという一人二役的なStevenのパフォーマンスは、遊び心と貫禄に満ちている。時折見せる笑顔と相俟って一つひとつの音が喜んでいる様が見えるように躍動するYoheyのベースはさすが。ブリッジでのコーラスも実に勇ましくカッコいい。Reiは自己解放への牽引力に満ちた歌声とともに全身で感情を表現。Newspeakをロックバンドたらしめるギターという重役に対して澤の演奏もばっちりハマっている。そして場内は“久しぶり”の空間から一気に現在進行へと転じ、大きな手拍子や思い思いの動きで応える観客。その空気感は画面越しの人々にもしっかり伝わっていたのではないだろうか。

 続いて間髪入れず「Wide Bright Eyes」へ。ダイナミックなドラムとパーカッション、太いベースとトランシーなシンセ、アンセミックなコーラスといいった、踊れる要素と覚醒作用がてんこ盛りのサウンドに熱量はうなぎ上り。さらに、4カ月連続シングルの一つでNewspeak史上もっともタイトでミニマルな「Pyramid Shakes」の、スリリングでダンサブルな展開が没入感を煽る。

 「Everybody, I Miss You So Much」というStevenのMCに、まったく違う同時通訳を入れようとするも失敗に終わるReiに、「この感じ久しぶりやな」と突っ込むYohey。てらいがない等身大の、ある意味茶番的な魅力がこぼれたことに、本人たちも観客もすっかり“いつもの感じ”を取り戻した様子。そこにミドルテンポの爽やかな「Lights And Noise」が続いたことで、場内はレイドバックしたムードに。こういったメンバーのキャラクターや関係値によって生まれる偶発性はライブならではの魅力だ。

 続いてはコロナ禍に突如活動休止が発表されたRyoyaに対し、Reiが“多くは語らず今日だけはRyoyaにこの曲を捧ぐと、「Parachute Flare」。現状、休止にともなう本人からのコメントが出ていない以上、その内容がポジティブなものであっても一方的な意見になることから、個人的な想いの発言は控えているとインタビューでも話した3人の言葉を尊重すると、我々も今は待つべき状況だと思うが、少なくとも彼なりの“Parachute Flare”、すなわち上りゆく光を見て、これからを選択してほしいと願う。