アニメ『マクロス』シリーズ、各年代の“これだけは聴いてほしい”楽曲の数々 サブスク解禁を機にピックアップ

菅野よう子、見参

 90年代のトピックとしては、菅野よう子の参入が最重要項目だ。OVAシリーズ『マクロスプラス』(1994年)で劇伴を担当した菅野は劇中曲も手がけ、数多くの名曲を残している。そんな『プラス』の人気曲といえば、やはり新居昭乃「VOICES」ということになるだろう。大陸的なメロディが印象的な、人間の根源的な部分を刺激するタイプの1曲だ。新居による楽曲については、似た系統の「WANNA BE AN ANGEL」も要注目だが、「Idol Talk」のようなインダストリアルテイストのクールなダンスナンバーも非常にクオリティが高く、菅野ならではの守備範囲の異常な広さを存分に楽しむことができる。

新居昭乃「VOICES」

 同じく90年代の『マクロス7』(1994年)では、劇中のハードロックバンド・Fire Bomberの楽曲群が中心となってくる。Led ZeppelinやBon Joviなど、世界のハードロック/ヘヴィメタルの名曲からの引用を隙あらば差し込もうとする、気概にあふれた楽曲が多いのも特徴だ。そうした元ネタを探しながら聴き込んでいくのも楽しいだろう。

 それと、若干“番外編”的にはなるが、1997年にリリースされたプレイステーション用ソフト『MACROSS DIGITAL MISSION VF-X』のエンディング曲、MILKY DOLLSによる「虹のパレット」などは、“隠れた名曲”のひとつと言えるだろう。ハーフシャッフルビートのミディアムナンバーで、スタイリッシュかつひねりの効いたメロディラインとコード進行、細かくグルーヴするベースラインが楽しめる佳曲だ。

MILKY DOLLS「虹のパレット」

伝統を受け継ぐ『マクロスF』と『マクロスΔ』

 2000年以降では、『マクロスF』の存在感が大きい。本作も『プラス』同様に菅野よう子が音楽を担当しており、多くの劇中歌やキャラクターソングを手がけている。「星間飛行」以外では、シェリル・ノーム(May'n)とランカ・リー(中島愛)のデュエット曲「ライオン」なども非常に人気の高い1曲だ。また、言うまでもなく坂本真綾が歌ったオープニング曲「トライアングラー」は必修科目である。

May'n, 中島愛「ライオン」

 『マクロスΔ』(2016年)では、ワルキューレ(JUNNA、鈴木みのり、安野希世乃、東山奈央、西田望見)が人気を博したことが記憶に新しい。今年に入ってからも新曲をリリースするなど“現役”グループであるとも言えるため、あえて注目曲を挙げる必要もないとは思うが、一応挙げるなら人気曲「AXIA~ダイスキでダイキライ~」あたりから入るか、あるいはデビュー曲「いけないボーダーライン」から順に追っていくのもいいだろう。

ワルキューレ「いけないボーダーライン」

 『マクロスF』のシェリルとランカもそうだが、ワルキューレのメンバーもそれぞれ“中の人”がソロシンガーとしても大活躍しているのは周知の通り。リン・ミンメイ(=飯島真理)に端を発する同シリーズの伝統は、40年近く経った今でも正しく受け継がれているのだ。

■ナカニシキュウ
ライター/カメラマン/ギタリスト/作曲家。2007年よりポップカルチャーのニュースサイト「ナタリー」でデザイナー兼カメラマンとして約10年間勤務したのち、フリーランスに。座右の銘は「そのうちなんとかなるだろう」。

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