Have a Nice Day!がファンと掴んだ不自由の中の自由 音楽に触れる喜びに満ちたO-EASTワンマンをレポート

 後半、珍しく長めのMCで浅見はこのライブに行きたくても立場的に悩んでしまうという知人の話をし、その人への理解も示した上で、自分の心の中だけでもいいから嘘のない気持ちを持った方がいいと話した。大袈裟にいえば、自分にとっての真実だけは手放すなということだろう。フロアからは「長い!」「意味がわからん!」とヤジが飛んでいたが、裏返せばいつも通りのハバナイをファンはただ楽しみたかったのかもしれない。ただ、そのMCに続いて演奏したのが、自粛期間に入り最初に作ったという「トンネルを抜けると」だったことは感慨深い。先のことはわからない、だが今の経験がポジティブな何かを生まないとは限らない。ミディアムテンポのこの曲を淡々と歌う浅見を見ていると、今のリアルな心情なのかなと感じる。

 ただ、それでは終われないとばかりに「Blood on the mosh pit」と「フォーエバーヤング」で自らエンジンにガソリンを焚べたハバナイ。「いつかどこかのモッシュピットで会おうぜ!」の一言に歓声が上がる。「てか、今日みんなが元気でよかった」と小さく追加した浅見にそれぞれの立ち位置から拍手が送られたのだった。不自由の中で自由を獲得したファンの顔は眩しく、それはバンドが最もはっきり目撃しただろう。早くも売れなきゃおかしいというベクトルの新曲も完成しているようで、感動に浸っていたら、次の展開がすぐ訪れるのかもしれない。

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「SPiCE」「Skream!」「PMC」などで執筆。音楽以外にカルチャー系やライフスタイル系の取材・執筆も行う。

<『Have a Nice Day!ワンマンライブ C19 Rhapsodies』セットリスト>
01. GET UP KIDS!!! 
02. LOCK DOWN 
03. TOO LONG VACATION 
04. ファウスト 
05. ロックンロールの恋人 
06. 60 seconds superstar 
07. 僕らの時代 
08. ハートに火をつけて 
09. Smells Like Teenage Riot 
10. 愛こそすべて 
11. 愛こそすべて 
12. Night Rainbow
13. わたしを離さないで 
14. LOVE SUPREME 
15. トンネルを抜けると
16. Blood on the mosh pit
17. フォーエバーヤング 

Have a Nice Day!公式HP

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