Autechre、Yppah、Locust 、Shinichi Atobe.……小野島大が選ぶエレクトロニックな新譜8選
Dukes of Chutney『Hazel』
デュークス・オブ・チャットニー(Dukes of Chutney)は、サーフィンを通じて知り合ったというカリフォルニア在住の2人にベルリンの女性アーティストが加わったトリオで、デビューEPが出たのは7年前ですが、このたびようやく1stアルバム『Hazel』(Beats In Space Records)をリリース。ミニマルダブ、ドローン、民俗音楽、エレクトロ、アンビエント、ポストロックなどが複合したエレクトロニックポップで、オーガニックで繊細なサウンドと呟くような、囁くような控えめな女性ボーカルが絶妙にバランスした美しいサウンド。夢の中を漂うような音楽です。
Daniel Szlajnda『KOMOREBI』
ポーランドはワルシャワ在住の電子音楽家ダニエル・チュラインダ(Daniel Szlajnda)の『KOMOREBI(木漏れ日)』(U Know Me Records)は、セレスタ、マリンバ、ピアノなどのアコースティック楽器とモジュラーシンセを使った控えめな電子音、フィールドレコーディングした様々なSE素材が絶妙に融合したエレクトロニカ〜ミニマルアンビエント。音のチョイスとミクスチュアのセンスが抜群で、中毒性があります。
Shinichi Atobe『Yes』
日本のテクノアーティスト・Shinichi Atobeによる2年ぶりの新作『Yes』(DDS)。コズミックに浮遊する電子音、クリアで美しい音色のシンセサイザー、ジャジーなピアノ、軽快なダンスグルーヴ、シンプルながら緻密に組み立てられたアンサンブルと、日本人らしい非常に細やかながら繊細で神経の行き届いたミニマルテック〜ディープハウス〜ニューディスコは見事の一言。“匠の心”を感じる見事な職人ワザです。
V.A.『KOMPAKT TOTAL 20』
ドイツのテクノシーンを20年以上にもわたって支え続けてきた名門レーベル<Kompakt>の名物コンピレーションシリーズ『TOTAL』の20作目を記念しての一作が『KOMPAKT TOTAL 20』(Kompakt)。ロバック・ワラム、ケルシェ、マーク・ロンボイ、ミヒャエル・メイヤーなど新旧の気鋭たちが提供したレアトラックが満載。このレーベルのテクノへの情熱と新しい挑戦を示す素晴らしいコンピレーションです。CDは23曲入り(配信は22曲)、ヴァイナルはそれに8曲を加えた限定盤。
■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebook/Twitter