DOBERMAN INFINITY「ガッツだぜ!!」リメイクに込めた“ヒップホップ精神” 原曲リスペクトとアイデア溢れるリリックに注目

 ヒップホップにおける制作手法の一つサンプリングは、過去の名曲からビートや声などを抜き出し、ループさせ、新しい曲に組み直すというもの。楽器を持たずとも、過去の楽曲が資源となりアイデア次第で無限に作品を生み出すことができる。単なる制作手法の話ではなく、先人へのリスペクトを元に行われるというのがヒップホップ精神だ。

 SWAYは「ガッチだぜ!!」制作にあたり、「元々の『ガッツだぜ!!』の世界観が素敵だったのでそこは崩さずに、ヒップホップグループがやる意味も込めたかった。令和になった今の時代に『ガッツだぜ!!』がリニューアルされ、『ガッチだぜ!!』になるパワーアップ感も出したかったので、そこはこだわったポイントです」(ORICON MUSIC)と話している。「ガッチだぜ!!」の作詞は全員がホワイトボードの前でアイデアを出し合ったという。

 作詞作業の面では、メンバー全員がラッパーとして自らリリックを書くという強みが最大限に生かされている(KAZUKIはシンガーではあるが)。もちろんラッパーの特性だけでなく、DOBERMAN INFINITYが普段から発信している「音楽の力を信じる」という信念から生まれるグッドバイブスが大いに作用しているように思う。

 そもそもこの「ガッチだぜ!!」は、ハード専用スタイリング剤「Gatti」のタイアップ曲として制作されている。昨年3月にタイアップ1曲目としてリリースされた「Gatti」は、ヘアスタイルをバッチリ決めたメンバーが次々登場するアッパーなMVに仕上がっており、彼らの色気が見事にハマっている。商品名がそのまま曲名になっている割に、他のシングル曲と並べても何の違和感もない完成度だ。商品の特性やイメージなどを尊重し、自分たちのスタイルとどう合わせればいいのか熟考した結果ではないだろうか。DOBERMAN INFINITYの音楽制作への姿勢は、タイアップ曲の制作において最強の武器になっているはずだ。

 伝えたいメッセージ、ラップとしての押韻、フレーズのつながりで生まれる意味など、多くのアイデアを出しその中からベストなものを取捨選択していくリリック会議は、きっとライブと同じように見応えのあるものに違いない。機会があれば制作風景も見てみたくなるアーティストだ。

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