声優 羽多野渉が持つ、笑顔の裏にある揺るぎない“芯” 数々のエピソードからプロとしての信条を読み解く
声優、アーティスト、さらにはラジオパーソナリティとして、多方面で活躍する羽多野渉。爽やかでいて男前な声を持ち、ステージではキレキレに踊る。トークになるとユーモラスでサービス精神旺盛。いつも真摯で全力なその姿勢はどのように生まれているのか、これまでの活動から解析してみたい。
声優としての活動はもちろんだが、アーティスト活動が活発な羽多野。2011年にシングル『はじまりの日に』で音楽活動を開始し、2015年からは毎年ライブを行なっており、先日9月4日も、初となるオンラインライブ『Wataru Hatano "Online" Live 2020 -ReIntro-』を配信したばかりだ。
アニメとのタイアップも多く、自身も出演したアニメ『ユーリ!!! on ICE』(テレビ朝日系)ではエンディングテーマ「You Only Live Once」を担当。クレジットを「YURI!!! on ICE feat. w.hatano」とし、歌が入るのはサビのみ、デジタルでクラブミュージック風なサウンドに仕上がったこの曲は、アーティスト・羽多野渉が全面に出た作品と言える。
9月2日には、ゲームアプリ『HELIOS Rising Heroes』のブラッド・ビームスとして、鳳アキラ役の豊永利行とともに歌う主題歌「Rise Sunshine」がリリースされた。作曲に田淵智也、編曲に堀江晶太が参加した気合の入った1曲で、明るく伸びやかなこの曲を、力強い歌声で盛り上げている。
また、羽多野が演じる役の中には『アイドリッシュセブン』の八乙女楽、『あんさんぶるスターズ!』の乙狩アドニスなど歌唱するキャラクターも多い。
筆者は羽多野が出演した『アイドリッシュセブン』の2度のライブ、1st LIVE『Road To Infinity』、そして2nd LIVE『REUNION』を観覧している。羽多野演じる八乙女楽は、九条天(斉藤壮馬)、十龍之介(佐藤拓也)との3人組アイドルグループ・TRIGGERのリーダーで、見た目はクールだが漢気のあるまっすぐな男。普段は人懐っこい笑顔の絶えない羽多野が、ライブの日は凛々しい表情でステージに立つ姿は、硬派で情熱的な八乙女楽そのものに見えたのを覚えている。その一方で、ライバルグループ・IDOLiSH7のパフォーマンスを見て感極まり、ライブ開始早々に舞台裏で涙ぐんでいたことを暴露されるなど、人情味のある姿も覗かせる。
過去のインタビューで「激しいライブの後は2週間くらい記憶が飛ぶことがある。ステージに立っているあの瞬間、たしかに命の炎を燃やしているんだなと実感する」(参照)と語っていることからも、いかにライブに思い入れを持って臨んでいるかがわかるだろう。