Uruが作り上げた、リスナーとの親密感のあるステージ ルーツと色彩豊かな魅力を見せた初のオンラインライブレポート

 ライブ後半、Uruはリスナーに向かって、こんなふうに語りかけた。一つだけ自分を肯定できると思えるのは、最後には自分がやりたかったこと、行きたい道を選べたこと。居心地のいい場所から抜け出せない時期もあったけど、「本当にこれでいいのか」と考えることができて、いま、ここで歌っていること。そのときにたくさんの音楽から力を借りたことーー。

 「もし、そのときの私と同じような状況の方がいらっしゃったら、きっとこれから歌う曲は、心に届いてくれるんじゃないかなと思います」という言葉に導かれたのは、「サヨナラCOLOR」(SUPER BUTTER DOG)。彼女自身が勇気づけられたという歌詞、その一つ一つのフレーズに思いを込めた歌はまさに圧巻。文字通り、1対1で言葉を届けようとする姿勢に強く心を打たれた。個人的にもっとも印象的だったのは、the pillowsの「Funny Bunny」。昨年、アクエリアスのCM曲として注目を集めたカバーだが、生で聴くUruの「Funny Bunny」は本気で絶品。透明感のある声で奏でられる〈キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ〉というラインに、涙腺を刺激されないリスナーはいないだろう。彼女自身のリアルな体験とも強く重なっているこれらの楽曲は、シンガー・Uruを形作ってきたルーツの一つと言っていいと思う。

 〈あなたと見る世界は/いつでも綺麗だった〉というフレーズが切なく広がる「プロローグ」、そして、「息の詰まる日々が続いているなか、心穏やかに過ごせていただけたらいいなと思って、歌っていましたが、ゆっくりとお聞きいただいているでしょうか」というMCからライブは後半へ。壮大なメロディと希望に対する祈りを込めた言葉が一つになった「フリージア」、いまはそばにいない大切な人に向けた思いを綴った「あなたがいることで」によって、ライブの感動はピークに達した。最後は「いつかまた一緒に歌えることを願いつつ、今日は、その場所で歌ってくれたら嬉しいです」という言葉とともに披露されたメジャーデビューシングル「星の中の君」。眩い光を放つメロディ、愛する人の美しさを反射するリリックがゆったりと響き渡り、ライブはエンディングを迎えた。

 初のオンラインライブで、美しくも繊細なバラード、彼女のルーツに根差したカバー曲を中心に、シンガーとしての色彩豊かな魅力を改めて示したUru。10月28日には、小栗旬、星野源が出演する映画『罪の声』の主題歌「振り子」、TVアニメ『半妖の夜叉姫』の主題歌「Break」を収録したニューシングルをリリースすることも決定。深遠な世界観と生々しい感情表現が共存する彼女の歌は、先が見えない状況のなかで、さらに多くのリスナーの心により添い、心地よい時間を与えてくれるはずだ。

 『Uru Online Live 2020 "あなたと私"』の視聴チケットは、ZAIKOとPIA LIVE STREAMで9月9日19時まで販売中。(アーカイブ映像は9月9日23時59分まで視聴可能)

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