リュックと添い寝ごはんが作り出す、自然体でアットホームな空気感 メジャーデビュー発表した、初の配信ライブレポート

 リュックと添い寝ごはんが8月26日、配信ライブ『ワンマンショー in お茶の間』を開催した……という書き出しさえ仰々しく感じられるほど、温かな配信ライブだった。

 配信が始まると、最初に映ったのはステージに向かう松本ユウ(Vo/Gt)、堂免英敬(Ba)、宮澤あかり(Dr)、サポートギター・ぬんの姿。4人は「わっくわくだね!」と言い合いながら階段を下り、誰もいないフロアを縦断すると、そのままステージに上がっていく。演奏を始める前にドラム台付近にメンバーが集合。他のバンドならば気合いを入れるために小さく声を合わせたりグータッチをしたりするものだが、このバンドの場合、なぜかここでじゃんけんが始まる。

 松本が一言挨拶したあと、8月19日配信リリースされたばかりの最新曲「生活」から演奏が始まった。スケールを下降するようなギターのメロディの上でベースが弾み、ドラムが疾走感を後押しする。発音や声質からか、松本のボーカルはゆったりとしたスピードで、歌だけが別の時間軸を生きている感じがする。バンドと歌が離ればなれになっているわけではないが、歌だけが自然と浮かび上がってくる。不思議なバランスだ。

 当初の想定とは異なり、観客を会場で入れた状態での開催は叶わなかったものの、この日がバンドにとって初めてのワンマンライブ。かつ、(先に書いてしまうが)メジャーデビュー発表のタイミング。ここから先も続くバンドの歴史にとって明らかに重要な日だったが、プレッシャーも何のその、メンバーは笑顔で楽しそうに演奏している。ある一人から発せられるメロディやリズムを(ときには身を揺らしながら)他のメンバーが汲み取り、「じゃあこういう感じはどう?」と提案するかのように次の音を鳴らす。直接言葉は交わしていなくてもそこでコミュニケーションが行われているのだということがーーそうやって発生するバンドのアンサンブルを4人が心のままに楽しんでいることが、画面越しでも十分に伝わってきた。曲間にメンバー同士で交わされている「行きますか」「行っちゃいましょう」といった声までこちらに聞こえてくる。

 この日演奏された11曲のうち4曲は未発表曲。5曲目にタイトル未定の曲を演奏したところで、松本が「前半の部はこちらで終了ですので」と告げると(その背後で他のメンバーが「早っ!」と反応)、フロアを換気するため、別室で特別企画を行う旨がアナウンスされた。

堂免英敬

 7~8分後に始まったのが、なんとクイズ大会。配信ライブを行う際、例えば、演奏と演奏の間にドキュメンタリー映像やMVを挟んだり、普段のライブではやらない構成に挑んでいるバンドも少なくないが、それでもクイズ大会をやっているのを見るのは個人的に初めてだ。そして、紙をめくって答えを覗こうとしたり、”終盤に一気に得点を獲得できる問題が出てきて一発逆転のチャンス”が生まれるというお約束の展開をわいわいと楽しんだりしているメンバーの姿を見ていたら、その空気が演奏中とほとんど変わりないことに気がつく。この空気感こそがバンドにとって大事なのだろう。

 堂免が優勝し、賞品として米(ごはん)5kgを受け取ったところでクイズ大会は終了。再びステージに戻ると、「500円玉と少年」から後半の部がスタートした。『青春日記』収録の音源は松本がアコースティックギターで弾き語りするアレンジだが、今回は彼の演奏に寄り添うように他3人の音も入っている。ギターやベースのボディを叩く音もアクセントとなり、心地よいリズムを生んでいた。9曲目の「グッバイトレイン」では、イントロの前にベースのフレーズが入るなど、ライブならではのアレンジを楽しむことができた。