香取慎吾、俳優としての柔軟性 三谷幸喜作品での活躍から読み解く喜劇を演じる才能
新しい地図を広げて以降も『72時間ホンネテレビ』『7.2 新しい別の窓』と長尺の生放送を精力的に展開できたのも、その中心に香取がいたからに違いない。スタジオで見えた観客のリアクションは、SNSのコメントに形を変えたと言えそうだ。
加えて最新作『誰かが、見ている』では、稲垣吾郎が出演することも発表された。香取と稲垣がドラマ作品で共演したのは、『SMAP GO!GO!』内で実現した三谷脚本・演出の生ドラマ『『古畑 VS SMAP』その後…』以来、7年ぶりだという。いつも隣で歌ったり踊ったりする仲ではあるものの、セリフを合わせる共演はなかなかないこと。そんな新鮮なシチュエーションが、香取にどんな表情をもたらすか。ぜひとも、見届けたいという気持ちになる。
三谷は本作での香取の活躍について、以下のようにコメントしている。「(香取が演じる)舎人真一くんは、ただ生きているだけで面白い。そういうキャラにしたかったのですが、そんな役を演じられる俳優は日本に一体何人いるんだろうと思います。喜劇俳優・香取慎吾の本領発揮です」。
香取慎吾は、世の中の大きな流れに突き動かされてしまう数奇な運命の持ち主であり、「みんなの慎吾ちゃん」という親しみやすさと、頑なに連絡先を交換したがらないクローズドな二面性を抱いている。それは、喜劇と悲劇が表裏一体で訪れる人生を描く上で、この上ない才能だ。生きる姿そのものがシットコムになる俳優は香取だけ、といっても過言ではないだろう。